2001 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素オリゴマー添加溶液を用いた遺跡出土鉄器の脱塩処理に関する研究
Project/Area Number |
12680160
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Research Institution | NARA NATIONAL COLLEGE TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
河越 幹男 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (90043489)
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Keywords | 保存処理 / 遺跡出土鉄器 / 脱塩処理 / 含フッ素オリゴマー |
Research Abstract |
含フッ素オリゴマーの長期保存に及ぼす影響を調べた。オリゴマーとして,親水基のみを有するSK-2(短鎖長)とSK-6(長鎖長),親水基と疎水基をもつSK-15の3種類のオリゴマーを用いた。脱塩処理液として水酸化カリウム(KOH)水溶液,それぞれ含フッ素オリゴマーを添加した3種類の処理液,およびセスキカーボネイト水溶液の合計5種類の処理液について検討した。長期保存後の再錆化に及ぼす処理液の影響を調べるため,これら処理液で脱塩した試料を室内に1年2ヶ月〜1年6ヶ月間保存した後,水蒸気で飽和された空気中に懸垂し,その重量変化を測定した。その結果,KOH水溶液の場合の重量増加を基準にして各試料の重量増加を表すと,1.80培(セスキ),1.07培(SK-15),0.98(SK-2),0.96(SK-6)となった。 昨年の結果を見ると,脱塩量は,セスキカーボネイト水溶液の場合は他の脱塩液に比べて極端に少なく,SK-6の場合に最大になっている。再錆化量が,セスキカーボネイトで極端に大きくなり,SK-6の場合に最小になったのはこのためと考えられる。再錆化量に関しては,昨年度も測定している。昨年度は,脱塩処理後の試料を乾燥させた後,直ちに飽和空気中に懸垂して再錆化による重量増加を測定した。その結果,再錆化量はオリゴマーに含まれる官能基の性質の影響を強く受け,疎水基をもつSK-15の場合に最小,親水基をもつSK-2とSK-6の場合に最大になった。 昨年の結果と本年度の結果を総合し,以下の結論を得た。脱塩処理後の短い期間では,オリゴマーに含まれる官能基の性質が再錆化の程度を決めるが,長期保存中の再錆化は残存塩量によって決まる。従って,長期保存を考えると,脱塩量の最も大きなSK-6が添加オリゴマーとして最も適している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 河越幹男, 山口清美, 澤田英夫, 川本耕三: "出土鉄器の脱塩処理に及ぼすベタイン型含フッ素オリゴマーの添加効果"日本文化財科学会第18回大会要旨集. 194-195 (2001)
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[Publications] 河越幹男, 山口清美, 澤田英夫, 川本耕三: "含塩鉄器からの脱塩処理に及ぼす含フッ素オリゴマーの影響"奈良工業高等専門学校研究紀要. 37号. 85-88 (2002)
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[Publications] 河越幹男, 山口清美, 澤田英夫, 川本耕三: "圧縮成型含塩鉄器からの脱塩処理に及ぼす含フッ素オリゴマーの添加効果"日本文化財科学会誌 考古学と自然科学. 43号(印刷中). (2002)