2002 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤含浸した出土木製品の接着の力学的研究―各種保存処理法と接着剤の適合性―
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12680162
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
川本 耕三 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 晋也 金沢学院大学, 美術文化部・文化財科, 助手 (10301003)
米村 祥央 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50332458)
大国 万希子 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40250352)
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Keywords | 油面 / 脂肪酸エステル法 / 出土木材 / 保存処理 / 接着強度 / 接着 / 3点曲げ試験 / エポキシ |
Research Abstract |
出土木材を糖アルコール含浸法・アルコール-キシレン-樹脂法・凍結乾燥法で処理した試料では、現在使用している接着剤(エポキシ系:セメダイン(株)製ハイスーパー5分型、同社製ハイスーパー30分型、シアノアクリレート系:(株)アルファ技研製アルテコZ-106)によって木材強度以上の接着強度を得るため、遺物に新たな折損部分を生じさせる恐れがある。 ポリエチレングリコール含浸法では、木材自身の強度よりやや小さく適当な接着強度ではないかと考える。しかし、高温・高湿環境での長期保管では強度低下が著しい。保管環境の改善によって対応するのが適当と考える。 脂肪酸エステル法では、特にエポキシ系接着剤で接着した試料の接着強度が小さいため、新たな接着方法を研究する必要がある。アクリル樹脂(パラロイドB-72)などのプライマーを塗布して薬剤を遮断しようとするとプライマー自体が剥離する。そこで油面接着剤(モルケミカル(株)製オイルコートゲル2液型)を用いて接着した試料を、JISK6856を参考に島津製作所(株)製オートグラフAGS-H5KN型に3点曲げ試験治具を装着して3点曲げ試験を行い、比較的良好な接着強度を得ることができた。 油面接着剤は本来、防錆油や切削油などが付着した鋼材を洗浄せずに接着するために極性の低いポリマー・オリゴマー・モノマーを配合するなど親油性を向上させることによって開発されたものであるから、実用化するためには長期の耐久性を含めて今後充分検討を加える必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 川本耕三: "薬剤含浸した出土木製品の接着の力学的研究1"元興寺文化財研究所研究報告. 2001. 23-27 (2002)
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[Publications] 川本耕三, 中村真仁, 中村晋也: "力学的試験法による水浸出土木材保存処理方法の評価"日本文化財科学会大会 研究発表要旨集. 第19回. 144-145 (2002)
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[Publications] 川本耕三, 中村晋也: "力学的試験法による水浸出土木材保存処理方法の評価(2)"日本文化財科学会大会 研究発表要旨集. 第20回. (2003)