2002 Fiscal Year Annual Research Report
初等学校児童の理科学習における問題解決能力とグラフ認知の関連性についての研究
Project/Area Number |
12680187
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
土田 理 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (10217325)
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Keywords | グラフリテラシー / グラフスキル / 初等学校 / 理科教育 / 算数教育 / コミュニケーション / 問題解決過程 / 授業プロトコル分析 |
Research Abstract |
平成14年度は,平成12,13年度実績をもとに,初等学校段階の理科学習において児童の問題解決能力を高める一つの方法としてグラフを効果的に活用した学習モジュール作成へ向けて,以下のように研究を進めた。 1.算数,数学分野におけるグラフ利用に関しての文献調査を行った。 文献調査より,大正時代の新主義数学においては実験室教授法が英国から導入され,初等教育における具体的グラフ利用が積極的に研究された結果,現在の算数科におけるグラフ活用の基礎となっていることがわかった。しかし学習者のグラフ認知特性や時間認識を考えるまでに研究が至らなかったため,グラフ作成・読取技能習得のみに焦点があてられ,現在もその考え方が続いていることが予想される。 2.研究協力者の所属する笠利町立節田小学校と鹿屋市立西原台小学校において平成13年度におこなった「歩いてグラフを描く活動」を取り入れた実験授業のプロトコル分析をさらに進めた。 分析をさらに進めた結果,児童の時間認識が,グラフの横軸決定を行うグラフ認知そのものの基礎にかかわっていることがわかった。これは,児童の時間認識が,日常生活に見られる「かけっこ」のような長さを単位とする速さ比べに基づいており,基準となるべき物理量としての定義から派生していないことに由来していると推察される。そして,本研究で行った「歩いてグラフを描く活動では,児童が自らの動きと言葉を駆使してグラフの変化を解釈した結果,上述した児童の時間認識が表面化され,グラフの軸,傾きの意味などを児童が自ら特定することが可能となることが明らかになった。 今後は,本研究で確立した「歩いてグラフを描く」学習モジュールを,「速さ」が[道のり]/[時間]として定義されていることの妥当性を児童が発見するための学習活動へ組み込む計画である。
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Research Products
(1 results)