2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680243
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鎌田 次男 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (90185976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杜 威 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (30240683)
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Keywords | ポートフォリオ評価 / 教材開発 / 対話 / メタ認知 / 意味論 / 数学用語 / 数学的表記 / 数学不安 |
Research Abstract |
本研究においては、ポートフォリオ評価なる概念を数学教育的立場から広く解釈をして用いる。 研究の目的 本研究は、小学校高学年生から高校1年生に至る時間的経過の中で、何らかの理由によって算数・数学学習内容が未消化に終わっている領域を見いだすための調査問題・教材を開発すること、これらを実施して得られる実態を基として、知的成長を阻害している軌跡を子供との対話を通して省みさせ、不十分な学習状況を回復させることを目的とする。 研究結果 パイロット的に実施した調査問題および開発した教材を用いての授業実践から、次のような成果が得られた。 (1)数学的表記とその表記が指示する対象との関係を密にする意味論的な教材が必要であること。 (2)比の三用法、分数概念、変数概念の欠如は、後の数学学習へ暗い影を落としていること。 (3)教授・学習過程に、日常用語と数学用語の差異、および両用語を用いて互いに表現・話し合う対話の場が求められること。 (4)数学不安は、文化・社会を越えて女性が男性より強いといわれるが、本研究で開発された多様に考えられる教材、指導目標がfreeな課題には、女性が男性よりも望ましい感情を喚起される傾向が強く、自主的な活動方向にあった(被験者は、小学校6年生、中学校1年生)。この知見の一般化は来年度に継続する。 (5)小学校、中学校、高等学校に共通して、解決過程を振り返る、あるいは新しい問いに向けて反省するというメタ認知的思考を培う教材・学習過程が必要であること。 ポートフォリオ評価は、既習の認知的学力、具備している情意的変数を使わざるを得ない学習活動の場を子供に提供して、その活動記録に現れる個性を肯定的に受け止めるという評価方法であるが、本研究は、調査問題・教材(paper test)を用いても、子供の算数・数学の足跡を辿ることが可能であることを示唆するものである。
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