2000 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習社会における学校と美術館の連携を促進するための研究
Project/Area Number |
12680261
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
藤江 充 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00106957)
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Keywords | 美術教育 / 社会教育 / 美術館 / 鑑賞教育 |
Research Abstract |
本年度は研究第1年目で、図版カードなどの資料の収集と教材作成に必要なパソコンや消耗品の準備が主な活動であった。 資料収集は、美術館の刊行物と市販複製図版を中心に行った。図版カードではアメリカで出版された"ART BOX"があるが、日本を含むアジアの作品が一点もなく内容的には不十分である。日本では「くもん」から刊行されている「名画カード」シリーズがあり、国内編もあって我が国の作品も含まれてはいるが、絵画に限定されている点に限界がある。やはり、図版カードは目的に応じて学校の教室でも美術館でも使えるような汎用性と柔軟性をもったものを自作する必要があることがわかった。美術館に出向いての資料収集は、東京都内の美術館を中心に行い教育普及担当者から話を聴くこともできた。どこも予算の削減のため新しい企画を打ち出しにくい状況にはあるが、学校への働きかけを一層進めていく方針であることがわかった。 アートゲーム用カードの作成は、パソコンで処理したものをプリントして、さらにラミネート加工したものを試作した。ハガキ大サイズで160点の作品を取り上げた。最初は3セット試作したが、美術館では対応できたが、学校の40人学級では各班別に配付するためには6セットは必要なことがわかり、現在、追加作成をしている。地域の図工・美術科の担当者が集まる研究会で講演した際に、カードを使ったアートゲームを行い、そこに参加した教員から授業に取り入れる動きもでてきた。 試作した図版カードは刈谷市美術館でも試用されたが、子どもたちが多少、乱暴に扱ってもラミネート加工で保護されていて耐久性があることを含めていくつかのデータを得ることができた。今後は、当該の美術館所蔵の作品をカード化していき、カード図版と実物作品とを比較対照できるようにしていく計画である。また、美術館ではないが、老人保健施設の入居者を対象とした美術活動プログラムでも試用され、回想法などの治療法にも有効であることが示唆された。
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