2001 Fiscal Year Annual Research Report
家庭科における学習が生活事象に対する子どもの見方や考え方に及ぼす影響
Project/Area Number |
12680262
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
矢野 由起 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00140054)
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Keywords | 家庭科 / 小学校 / 学習 / 生活事象 / 生活行動 / 理解 |
Research Abstract |
家庭科における学習内容は、子どもの日常生活と密接に関連しているため、日常生活経験は家庭科学習に大きな影響を及ぼす。したがって、家庭科学習内容にかかわる生活上の事象について、学習前に子どもがどのような考えをもち、どのような見方をしているのかを知っておくことは、家庭科の授業を展開する上でも、また家庭科カリキュラムを考える上でも重要なことである。そこで、本研究では、家庭科学習前の子どもたちが、日常の生活事象について、どのように理解し、どのような論理でそれを説明しようとしているのかを明らかにすることを目的とする。方法は質問紙によるアンケート調査で、小学校家庭科学習前の小学校4年生および学習後の6年生を対象とした。その結果、1.食べ物の必要性の理由については、学習前の4年生も学習後の6年生もともに「生きるため」と答えた者が最も多かった。2.いろいろな食品を組み合わせて食べることについては、小学校4年生6年生ともにその必要があると答えていたが、その理由については、4年生が「栄養をたくさんとるため」という量的な捉え方をしているのに対し、6年生はバランスよく栄養をとるためという質的な捉え方をしていた。3.野菜の炒め方については、6年生の正答率が有意に高く、学習経験のちがいが認められた。4.ビタミンCの性質については、小学校4年生6年生ともに正答率が低く、ビタミンの性質を調理操作と関連づけて理解することは、小学校段階では難しいことが示唆された。以上、日常生活にかかわる事象について、学習前の子どもも一人ひとりが自分なりの見方や考え方を持っていること、家庭科学習後の6年生は学習前の4年生に比べ生活事象をより客観的かつ科学的に捉えていること、が明らかにされた。
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