2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680264
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
水山 光春 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (80303923)
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Keywords | 合意形成 / 意思決定 / 環境教育 / 社会科教育 |
Research Abstract |
今年度は,「合意を分析する視点」「社会的論争問題を扱う授業論」「授業モデル」の三点について検討した。 1.社会的論争問題についての複数の主体間での「合意」を扱う社会科授業において,合意を分析する視点としては,「合意の実質」「合意の手続き」「合意後への制約」「合意のコスト」の四つを指摘することができる。(1)「合意の実質」は主として合意の内容にかかわるもので,さらに「合意の重なり」と「合意の深さ」の二つの下位の要素に分けられ,合意の実質はこれらの要素の相互関連において表すことができる。(2)「合意の手続き」は,主として合意の方法に関わるもので,そこでは「論点の設定」「情報の提供」「議論のスタイル」「結果の処理」等が下位の要素を構成する。(3)「合意後への制約」は,合意が合意の当事者の行動をどの程度束縛するかを問うもので,合意された内容とその実行との間の整合性を問うものである。(4)「合意のコスト」は合意の結果を権威づけるためのコストであり,合意に要する「手間」と「時間」の二つの下位要素を持つ。合意形成をめざす授業においては,以上に示した視点や要素を検討する過程を組み込むことが求められる。 2.社会的論争問題を扱う近年の授業論について検討した結果,それらは「意志決定重視vs社会認識重視」と「公的性格重視vs個人的性格重視」の二つの軸によって四つの型に分類できること,および環境教育的側面を重視する授業においては,これらの枠のすべてに対応する授業を構築する必要のあることが明らかとなった。 3.社会科環境教育における合意形成をめざす授業モデルおよび授業トピックスとして,研究協力者である福岡教育大学附属中学校,及び京都教育大学附属中学校教員の助力を得て,「日本は環境税を導入すべきである」を論題として意志決定を問う授業を開発した。次年度はさらに数例のモデルを開発し,実施・分析する予定。
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