2000 Fiscal Year Annual Research Report
書くプロセス重視の英作文指導のための基礎研究:ライティング方略育成をめざす
Project/Area Number |
12680281
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
広瀬 恵子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40145719)
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Keywords | 書くプロセス / ライティング方略 / 英作文指導 / 論説文 / 説得文 / 説得スキーマ / 続み手意識 / 内観報告 |
Research Abstract |
本研究は、英作文の「未熟な書き手」と「熟練した書き手」が用いるライティング方略を実証的に明らかにし、「熟練した書き手」が用いる方略を「未熟な書き手」に教えて、その教授効果を検証することを最終目的としている。このために、本年度は、日本人大学生から英語の"good writer"(6名)と"weak writer"(5名)を選び、英語と日本語の論説・説得文を書いてもらった。英作文だけではなく日本語作文のデータを収集したのは、両群が母語作文において、どのようなライティング方略を用いているかも調べるためである。そして、作文プロダクトだけではなく、書き手自身から得た内観報告に基づいて、どのようにして作文が産出されたのか、特にどのようにして構成が決められたのか、書くプロセスも分析の対象とした。 分析の結果、以下のことが明らかになった。(1)英語の"good writer"は、日本語においても"good writer"である傾向がある。(2)「熟練した書き手」は、論説・説得のスキーマを持っており、英語でも日本語でも、作文を書き出す前に作文全体の構成を決める。(3)「熟練した書き手」には、読み手の立場に立つ意識がみられる。すなわち、読み手を説得しなければならない、これでは説得できないのではないか、といった自分自身のライティングへの評価的フィードバックがみられる。(4)英語の"weak writer"は、論説・説得スキーマを母語でも使っていないか、または母語で持っていても、英語文章産出中は自分の意図にあう単語を探すなどの英語に置き換える作業に終始し、説得スキーマを活性化していない可能性がある。さらに、英語の"good writer"にみられた読み手意識はない。 このように、日本人英語学習者の「未熟な書き手」と「熟練した書き手」が日本語と英語を書くプロセスで使う方略をある程度は明らかにできたが、両言語間の方略の転移という課題は残った。
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Research Products
(1 results)