2000 Fiscal Year Annual Research Report
共通の歌詞を用いた「日本の『声の音楽』」の学習テキスト(CD)制作の試み-邦・洋楽の歌唱表現法の比較-
Project/Area Number |
12680289
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Research Institution | Osaka University of Arts |
Principal Investigator |
中山 一郎 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60029890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真司 大阪芸術大学, 芸術学部, 講師 (10200742)
柳田 益造 同志社大学, 工学部, 教授 (00116120)
上畠 力 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00030354)
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Keywords | 日本語の歌唱 / 邦楽の歌唱 / 洋楽の歌唱 / 共通詞 / うたい分け / 歌唱表現法 |
Research Abstract |
近年、日本の伝統音楽(邦楽)に対する関心が急速に高まっている。この傾向は小・中・高等学校の音楽教育においても当然みられ、既に、(中・高においては)2002年度から「邦楽を教授するように」、との決定がなされている。しかしながら教育現場においては、深刻な問題が生ずることは想像に難くない。即ち、殆ど洋楽のみで教育されてきた教師が邦楽を生徒に教授できるのか、という問題であり、これは、邦楽をどのように教授するのかの方法論の欠如や、邦楽を理解させるための、一貫した方針に基づいた適切な「音のテキスト」が存在しない、という現状の反映であると考えられる。 このような背景のもとに本研究では、邦楽において中心をなす「声の音楽」を対象として、共通の歌詞(共通詞)を、邦楽と洋楽の最高クラスの演者(発声者)が、各ジャンルでの典型的な歌唱表現法で"歌(唄、謡)い分ける"という、一貫した方針に基づいた、系統的に邦楽の各ジャンル間の差異が把握でき、また、洋楽的法唱との比較も可能な、平易、かつ高品質な「声のテキスト(CD)」を試作することを目的とする。 この目的に従って、本年度は次の成果を得た。1.邦楽の(殆ど)全てのジャンル、及び洋楽の、合計65名(うち、人間国宝16名)にも及ぶ発声者の共通詞の"うたい分け"の音声収録を(一応)終了した(延べ約100時間)。収録は無響室内で、周波数平坦の収録系を用いて行った。なお、今年度中に収録できなかったジャンル、及び発声者については、次年度に行う予定である。2.収録した全音声試料の「タイム・テーブル」の作成は既に終了し、CD試作のための編集作業の基本的な準備は整った。なお、音声分析は、一部の試料については既に行った。 このように、CDの試作、及び将来のCD作成のための体制は既に整った。(1行40字)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中山一郎: "邦楽と洋楽の歌唱はどう違うか?-共通の歌詞を用いた歌唱表現法の比較-"日本音響学会誌. 56・5. 343-348 (2000)
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[Publications] 中山一郎: "日本の伝統芸能(邦楽)における声質の多様性について"日本音響学会講演論文集. 2000/9. 543-544 (2000)
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[Publications] 中山一郎: "日本語を歌・唄・謡う-共通の歌詞をうたい分けた音声試料の紹介-"日本音響学会音楽音響研究会資料. 2001/2. 1-4 (2001)