移動型並行計算の理論に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12680352
• Research Institution: OKAYAMA UNIVERSITY
• Principal Investigator: 村上 昌己 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60239499)
• Keywords: 並行計算 / 分散システム / 線形論理 / プロセス代数 / 高階通信 / code streaming / 多重集合書き換え

Research Abstract

本研究では相互に接続され広域に分散した環境における計算/処理の形態のひとつである分散型の並行計算システムの理論的なモデルについて研究を行った。なかでもネットワークによって結合された複数のサイト間を移動する計算主体を用いる処理モデルに焦点をあてて形式化を行った。それによって得られた結果のひとつが、code streamingの形式的モデルである。これは従来の移動型計算主体の転送方式のモデルである高階の通信モデルを拡張したものである。このモデルではプログラム・コードは、単一の動作としてではなく、割り込み可能な一連の動作の集まりとして形式化される。これによって、近年のweb技術などで用いられているオブジェクトの転送と実行の形態を、より忠実な形で形式化できる。また本研究では、分散型の計算システムの記述モデルとして、従来の多重集合書き換え系を拡張したモデルを提案した。並行/分散処理系において名前資源の有効範囲を明示的に記述することが重要である。本研究で提案したモデルでは、このために、多重集合における名前資源の有効範囲を有向グラフを用いて記述する方法を提案した。これによって、計算主体のサイト間の移動を含む動的な変化の記述が、多重集合書き換えと同様な操作によって記述できることが示された。また、その応用として並行システムの動的変更や実行時最適化などの操作が、有向グラフの書き換えによって記述できることを示した。

Research Products

• [Publications] Murakami, Masaki: "Evolvable Concurrent Processes"Computer Standards and Interfaces. Vol.25. 233-239 (2003)
• [Publications] Murakami Masaki: "A Model of Runtime Transformation for Distributed Systems Based on Directed Acyclic Graph Model"Journal of System Architectures. 印刷中.