2002 Fiscal Year Annual Research Report
将来の計算機構としての可逆コンピューティングの研究
Project/Area Number |
12680353
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森田 憲一 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00093469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 勝喜 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20253106)
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Keywords | 可逆計算機構 / 可逆論理 / 論理素子 / 論理万能性 / 可逆セル・オートマトン / 保存性 / 生成文法 |
Research Abstract |
近年の量子コンピューティングの研究に見られるように、将来の計算機は物質のミクロな物理的性質を直接的に演算に利用するものになると予想されている。物理的な可逆性を反映した可逆コンピューティングもそのような立場に立つ計算モデルであり、量子コンピューティングの理論的基礎の一つであるだけでなく、それ自体が将来のコンピュータの可能性を探る研究として重要である。本研究ではそのような観点から可逆計算機構の理論的研究を行い、以下の成果を得た。 1.新しい可逆論理素子の研究とそれによる可逆計算機構の設計法 前年度までの研究により「ロータリー素子」と呼ぶ単純な可逆論理素子を提案し、その論理万能性を証明した。今年度はこの素子に基づく可逆順序回路の一般的な設計法を与えた。ここで構成した回路は従来の論理回路ようなクロック信号は不要であるという特徴を持つ。さらに、ロータリー素子よりも入出力線の数が少ないという意味でより単純な万能論理素子が数種存在することも示した。 2.計算万能性を有する可逆的および保存的セルオートマトンの研究 可逆性と共に重要な物理的性質である保存性を持つようなセルオートマトンについて研究した。保存的セルオートマトンとは、各セルの状態が数で表現され、その数の総和が遷移によって変化しないものをいい、物質やエネルギーの保存則に対応する。今年度の研究では、そのようなセルオートマトンの計算万能性、自己増殖可能性、および同期問題(一斉射撃問題)について研究した。これらはいずれも肯定的に解決され、可逆セルオートマトンと同様に高い情報処理能力を有することが分かった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Imai: "Self-reproduction in three-dimensional reversible cellular space"Artificial Life. 8・2. 155-174 (2002)
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[Publications] 荻路剛: "計算万能な81状態保存的可逆セルオートマトン"電子情報通信学会論文誌A. J85-A・10. 1041-1050 (2002)
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[Publications] 今井勝喜: "自己参照メカニズムに基づく自己増殖セルオートマトンのシミュレーション"電子情報通信学会論文誌A. J85-A・10. 1051-1058 (2002)
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[Publications] K.Imai: "Firing-squad synchronization problem in number-conserving cellular automata"Fundamenta Informatica. 52・1-3. 133-141 (2002)
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[Publications] K.Imai: "Self-reproduction and shape formation in two and three dimensional cellular automata with conservative constraint"Proc. of The Eighth Int. Symp. on Artificial Life and Robotics, Beppu. 271-274 (2003)
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[Publications] K.Morita: "A new universal Logic element for reversible computing"Grammars and Automata for String Processing (eds. C. Martin-Vide, and V. Mitrana), Taylor & Francis. 285-294 (2003)
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[Publications] A.Adamatzky (ed.): "Collision-Based Computing(K.Morita et al. : Universal computing in reversible and number-conserving two-dimensional cellular spaces)"Spring-Verlag. 549 (2002)