2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的アルゴリズムによる多目的最適化手法の開発・定量的評価および適用
Project/Area Number |
12680402
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西川 郁子 立命館大学, 理工学部, 助教授 (90212117)
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Keywords | 遺伝的アルゴリズム / 多目的最適化 / デコーディング / 並列選択 / パレート解 / ナップザック問題 / フローショップ問題 / 相関係数 |
Research Abstract |
遺伝的アルゴリズムを用いた多目的最適化手法として、Multiple Coding GA(以後MCGA)を提案している。これは、最適化すべき目的関数ごとに、各個体の遺伝型から表現型へのデコーディングを変えるもので、各個体はいずれかの目的に特化し、その値をより改善するデコーディングに従う。各目的関数に応じて個体群を選択し、交叉や突然変異操作を加える点は、並列選択手法と同じである。この手法の最大の利点は、解空間内のパレート解集合の探索が中央部に偏ることなく進むことであり、弱点は、目的ごとに如何に適切なデコーディング法を選ぶかにより性能が変わることで、目的ごとに何らかのヒューリスティクスがある場合に特に有用である。 ここでは、範例的問題としてのナップザック問題と、より実用に近いスケジューリング問題としてのフローショップ問題を対象とし、多目的最適化を行った。ナップザック問題では、2目的および3目的最大化とし、目的間の相関係数が-1から1まで異なるデータを予め作成することで、パレート解集合の形状を意図的に変え、MCGAと並列選択の特性を比較した。得られた解集合を、相対精度、カバー率、多様性で定量比較することで、並列選択はパレート解集合の中央部で密に探索するため類似した解群を出すこと、MCGAは周辺部の解を押さえ遺伝的操作により解領域を中央に拡大してゆき最終的にはより偏りの少ない集合を得ること、その傾向は解空間が2次元より3次元と次元数(目的数)が上がるほど顕著になることなどがわかった。また、2目的フローショップ問題では、デコーディングに用いるヒューリスティクスとして、総所要時間最小化にはJohnsonの定理の拡張手法を、終了時刻和最小化に対しては新規に最小影響度選択法を提案し、それぞれの有効性を確認した後、MCGAで用いた。その結果、MCGAは安定して多様性の高い解を獲得し、特に仕事数や機械数が多い大規模問題では、常に優越する結果を示すことが確認できた。
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