Research Abstract |
多目的最適化においては,問題の大規模化や目的数の増加により,解空間内のパレート最適解数が飛躍的に増大するため,そこでの探索は単に多数のパレート解を得ることではなく,より多様で広範な解を得ることである.本研究では,GAを多目的最適化問題に適用するにあたり,以下を行った. 1.個体ごとに特定の目的に特化させ,その特化目的ごとに異なるデコーディングを行うMultiple Coding GAを提案.従来の並列選択法との比較実験では,並列選択法と相補的な探索傾向が見られたことより,両手法を融合したハイブリッド法も用いた. 2.性能検証用の対象問題をより系統的に作成するために,問題データの統計性,具体的には目的間の相関係数を随意に与える方法を開発.2目的が各々独立にGauss分布,あるいは,一様分布に従う確率変数の場合に,所望の相関係数をもつデータの作成方法を示した.目的間の相関に応じて,パレート解集合の分布形状が変わり,それにより探索課題の定性的性質や各探索手法の性能が変わることを実験的に確認. 3.GA手法ごとに得られたパレート解集合を定量比較する指標として,相対精度,カバー率,多様性の3量の定義.比較実験での評価指標とした. 4.2目的ナップサック問題で2.の方法で作成した各種相関を持つ2目的データ,3目的ナップサック問題,2目的フローショップ問題に対して,1.で提案したMultiple Coding GA,並列選択法,および,両者のハイブリッド法を適用し,3.の指標で評価した. 5.4.の実験より,並列選択法は中央部分で密,MCGAは周辺でより有効な探索を行うこと,よって特に,データの統計性により広いパレート解分布を持つ問題や大規模な問題,目的数が増えた場合に,MCGAが優れていることが分った.
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