2000 Fiscal Year Annual Research Report
モジュール構造をなす動的人工神経ネットワークのダイナミクス
Project/Area Number |
12680403
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
堤 一義 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30197735)
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Keywords | ニューラルネットワーク / ダイナミクス / モジュール / 冗長性 / 最適化問題 / ホップフィールド / 緩和 / アトラクタ |
Research Abstract |
人工神経ネットワークに関しては、これまでに、生物学的にも妥当性のある幾つかのパラダイムが提唱されており、これらの内「写像」と「緩和」はとりわけ重要なものである。「写像」や「緩和」が何れも妥当であるとするなら、生物の神経系においては、それらが別々に機能していると考えるより、それらが融合した「より上位の枠組み」の下で情報処理がなされていると考えるのが自然である。そうした立場から、本研究代表者は、これら2つのパラダイムを統合したモジュール構造をなす動的人工神経ネットワークモデルを複数提案し、「より上位の枠組み」の存在可能性を検討してきた。動的人工神経ネットワークは基本的に非線型フィードバックシステムであり、結合様式によっては固定点アトラクタ以外にもリミットサイクルやストレンジアトラクタなど複数種のアトラクタが存在し得る。本研究では、総合的にネットワークのダイナミクスを理解するため、「より上位の枠組み」を説明する新たなモデルの提案を行い、複数種のアトラクタの生成メカニズムやそれらのアトラクタ間を遷移するメカニズムを明らかにすることが目的である。 本年度は、第1段階として、最適化問題を例に取り上げ、ネットワーク構造を導く元となるエネルギー関数の形と固定点アトラクタの種類・性質との関係を中心に議論を行った。その結果、あるエネルギー関数の下では、状態空間の超格子上の(グローバル)ミニマム以外に、解くべき最適化問題の種類(設定)に依存して状態空間の内部に(ローカル)ミニマムが出現する場合のあることが明らかとなった。次年度は、最適解への収束を妨げるこれらの不適切なミニマムを取り除く方法を検討することから始め、ネットワークダイナミクスのより詳細な理解を目指したい。
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Research Products
(1 results)