2002 Fiscal Year Annual Research Report
組織事故の観点からの事故解析方法論とヒューマンエラー未然防止方法
Project/Area Number |
12680435
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Research Institution | University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田中 健次 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助教授 (60197415)
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Keywords | 組織事故 / ヒューマンエラー / コミュニケーション / インシデントレポーティングシステム / 事故調査 / 事故解析 / 未然防止 / 医療事故 |
Research Abstract |
本研究は、ヒューマンエラーの原因を対象システムや管理組織内に追究するための解析方法を検討し方法論として確立することを目的としている。特に情報のコミュニケーションプロセスと事故の背後に存在する組織文化に着目、平成12年度は、河川、原子力、医療、航空業界での組織事故解析と事故後に実施された未然防止策の問題点を抽出、13年度は各分野での特徴を整理した後、分野間に共通する要因を抽出、統一的方法論の構築に向けて、基本概念を提案した。14年度は下記の2点を行なった。 1.組織事故を解析するための方法論の構築と評価に関して 社会的事故の事故報告書がどの程度まで有効に利用されたかについて、ある医療事故の調査報告書に着目し主要医療機関にアンケート調査、その結果を学会で発表した。さらに3年間にわたり様々な分野の事故報告書を検討した結果をもとに現状の問題点を整理し、組織事故を解析するための対象分野に依存しない事故解析方法論の枠組みを構築、学会で発表した(安全工学シンポジウム、JSQC)。第3者機関による解析支援サポートが必要であることを提案している。 2.組織事故未然防止のための方法論に関して 未然防止の為のリスクマネジメント方法論として、インシデント・レポーティング・システムを活用し、リスク認知の獲得を目指した学習型リスクマネジメントシステムの提案を行った。特に医療業界を中心にレポーティングシステムの効果的位置付けを提言し、組織対応の必要性を明示した。航空業界では、パイロットヘのアンケート調査からヒューマンエラーを起こす背景にある日本人の慣習や安全文化を解析し、学会で発表した(SICE)。さらに情報の提供方法によりリスク・コミュニケーションの効果に差異があることを認知実験で確認評価し、これまでの結果を総合して組織事故の観点から人間エラーを未然に防止するための指針をまとめた。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 島倉大輔: "医療における事故報告書の公開の重要性と防護の絞込み"日本品質管理学会第66回研究発表会要旨集. 53-56 (2002)
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[Publications] Kenji Tanaka: "Learning by Reporting System of Organizational Accidents in Japan"Proc. of Investigation and Research for Incidents and Accidents. 154-160 (2002)
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[Publications] Genya Abe: "Dynamics of Drivers' Trust in Warning Systems"Proc. of IFAC 15^<th> World Congress. (2002)
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[Publications] 田中健次: "アクシデント・インシデント情報の共有と活用について"第32回安全工学シンポジウム講演予稿集. 364-367 (2002)
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[Publications] 田中健次: "トラブル情報の収集と組織要因の解析"日本品質管理学会第88回シンポジウム「品質危機-人間行動に起因する事故の未然防止のための方法論の体系化を目指して」. 13-18 (2002)
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[Publications] 田中健次: "トラブル情報は何のために公開されているか-受信側からの提案"電気学会原子力総合安全研究会NE-02-10. 23-28 (2002)
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[Publications] 田中健次: "トラブル情報の共有から有効活用へ"全国産業安全衛生大会研究発表集. 218-219 (2002)
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[Publications] 島倉大輔: "組織事故を防止するための事故解析と対策評価の手法の提案"日本品質管理学会第32回年次大会研究発表会. 1-4 (2002)
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[Publications] Daisuke Shimakura: "A Method for Analyzing Organizational Accidents and Planning Countermeasures"Proceedings of Quality Management and Organizational Development 2002. 325-334 (2002)
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[Publications] 大豆生田顕: "広域災害における応援要請プロセスの提案と解析"日本災害情報学会台4回研究発表大会. 47-56 (2002)
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[Publications] 伊藤 誠: "ヒューマンマシン協調の背後にあるパイロットの自動化への態度"計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会2002講演論文集. 179-184 (2002)
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[Publications] 田中健次: "安全と危険との狭間(グレイゾーン)への対処と活用"知能と情報(日本知能情報ファジイ学会誌). 15巻1号. 61-72 (2003)
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[Publications] 田中健次: "危機をもたらす情報システムと危機を救う情報システム"経営情報学会誌. 11巻4号. 111-117 (2003)
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[Publications] 島倉大輔: "組織事故からの学習-原因解析と対策評価の手法の提案と組織内での活用-"電気通信大学大学院情報システム学研究科シンポジウム第7回「信頼性とシステム安全学」論文集. 28-35 (2003)
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[Publications] 稲橋広将: "自動化システムに対する効果的手動介入への情報提示による影響"電気通信大学大学院情報システム学研究科シンポジウム第7回「信頼性とシステム安全学」論文集. 44-59 (2003)
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[Publications] 稲橋広将: "自動化システムに対する効果的手動介入への情報提示による影響"計測自動制御学会第30回知能システムシンポジウム. (発表予定). (2003)
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[Publications] 田中健次: "災害時に的確な危険回避行動を導くための情報コミュニケーション"災害情報学会誌. (掲載確定). (2003)