2001 Fiscal Year Annual Research Report
Acid shockによる酸性融雪水中の安定同位体分別と溶存イオンの分別過程
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12680469
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 和秀 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (80113398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 肇 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (00042747)
畑 勝次 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30042758)
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Keywords | 酸性雪 / pH / acid shock / イオン濃度 / 融雪 |
Research Abstract |
1.酸性雪の実態を把握するため、1987年より本校で年間を通して1日1回の降水の採取を行い、酸性度、電気伝導度、化学主成分濃度の分析を行っている。降水のpHの経年変動の回帰直線は、1987年代末の平均4.9から1999年代末の4.5の減少傾向を示している。過去13年間の平均pH値の季節変動は冬期と6月に低く、4月前後に高くなる傾向が見られる。冬期に低いのは大陸からの汚染物質の効果が大きいと思われる。4月前後にPH値が高くなるのは黄砂の影響が考えられる。6月が低い原因は不明である。2001年度は3、4月に高く、5、6月に冬期の平均値より低いのが特徴であった。 2.冬期(1994年11月〜1995年3月)降水の酸素同位体組成(δ^<18>0)とイオン濃度の関係を調べた。全降水の平均δ^<18>0は-9.3‰)で、霰の値が低く、雪、雨の順に値が高くなる。特別のイオンとの強い相関は見いだせないが、カルシウムイオンとの相関が少し見られた。 3.大量の湿雪に覆われる本州でのacid shockの実態を把握するため、長岡市平地の積雪について解析した。積雪層毎の含水率、酸性度、電気伝導度、化学主成分濃度について1日単位の変動の解析を行った。冬期でも水が含まれている0℃の積雪層が多くあり、含水率変動から1日単位でも,上層の水は下層まで流下し、時には地面まで到達し積雪層から流出することが判明している。また酸性度、電気伝導度、化学主成分濃度の積雪層毎の変動も、この現象を支持している。ただし、積雪のイオン濃度分布の変動から、イオンの積雪内の流出速度はイオン種によって若干の違いをみせている。 4.イオン種の違いによる流出速度の異なる理由を解明するため、雨、雪などの水溶液の熱分析を行い、融解温度、融解エネルギーの規則性などを実験し、興味ある結果が得られたが、詳細は不明である。また水溶液の凍結実験によると、凍結氷にイオン種の不均一分布が見られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐藤和秀: "長岡における1987〜1999年の降水のpH変動と化学特性"2000年度日本雪氷学会全国大会講演予稿集. 125 (2000)
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[Publications] Koichi Watanabe: "ECM profile on the S25 core and its relationships with chemical compositions"Bulletin of Glaciological Research. 17. 17-22 (2000)
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[Publications] 佐藤和秀: "地域差による融雪の違いと融雪水の化学組成の挙動"北海道大学低温科学研究所共同研究報告書(平成11年度). 43 (2000)
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[Publications] 佐藤和秀: "融解水の溶存イオン濃度特性"平成11年度名古屋大学大気水圏科学研究所共同研究報告書. 22-23 (2000)
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[Publications] 佐藤和秀: "冬期降水の醸素同位体組成と化学主成分イオン濃度"2001年度日本雪氷学会全国大会講演予稿集. 83 (2001)
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[Publications] Koichi Watanabe: "Post-depositional modification of magnesium in the S25 core near the coast in East Antarctica"Bulletin of Glaciological Research. 19. 33-36 (2002)