2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680525
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Research Institution | UNIVERSITY OF THE RYUKYUS |
Principal Investigator |
平良 初男 琉球大学, 理学部, 教授 (70044998)
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Keywords | ストロー / 科学成分 / 水質変動 |
Research Abstract |
これまでの研究で,洞窟ストローについて天然放射性核種^<210>Pbを用いた放射化学的な手法によってその成長速度を求めることができた。ストローは流れる地下水から成長するので,含まれる化学成分は地下水の水質変動を記録している可能性がある。 今回の研究では,同じ炭酸カルシウムでも生成機構の異なる洞窟内に発達するストロー(洞窟ストロー)とコンクリート建築物に発達するストロー(コンクリートストロー)に含まれる化学物質を調べ,環境変動の指標となりうる可能性を調べた。 その結果,傾向として,洞窟ストローはMg濃度が高く,Na<K,滴下水はpH7〜8、コンクリートストローのMgは低濃度でNa, K濃度が高く,Na>K,滴下水はpH12以上であった。両ストローともNaとKの相関性は高いが,NaとKはMgとの相関が低い。 また,洞窟ストローには硫酸イオンを多く含む試料が見られたが、コンクリートストローからは見つからなかった。 洞窟ストローが得られた洞窟内の滴下水を1年間にわたってモニターし、含まれる上記物質の時間変動を調べた。その結果,場所によって同じ洞窟でも濃度レベルに違いが見られ,Cl、Na, K, Mgの変動幅は小さく,硝酸イオンと硫酸イオンの変動幅は大きい。Caは夏場にやや高くなる傾向があった。 洞窟ストローはウラン濃度とCaに相関が見られるが,異常にウラン濃度が高いストローも見られ,肥料の影響が示唆された。 さらに特徴的な点は,これまで炭酸カルシウムには取り込まれないとされていた硝酸イオンが洞窟ストローの一部とコンクリートストローから検出された。このメカニズムについての研究は継続中である。
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