2001 Fiscal Year Annual Research Report
チョウ類群集を指標にした都市環境評価システムの確立
Project/Area Number |
12680534
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉田 宗弘 関西大学, 工学部, 教授 (30158472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 達彦 東京農業大学, 短期大学部, 教授 (20158736)
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Keywords | チョウ類群集 / トランセクト調査 / 群集生態学 / 環境評価 / 都市環境 / 里山 / 多様性 / 都市緑地 |
Research Abstract |
今年度は以下の地域でチョウのトランセクト調査を行った。 1)神戸市北区しあわせの村:前年度に引き続き4〜10月に14回の調査を遂行した。8科43種810個体のチョウを観察・記録した。生息密度や種構成に大きな変化は認められなかったが、種数、多様度指数、環境指数は前年度を若干下回った。またオープンランドでの目撃が増加していた。この差が年度による変動の誤差範囲のものかそれとも里山環境の劣化を意味するのかは次年度以降も調査を継続した上で判断する。 2)京都市西京区桂西口:1997年度から調査を継続しているフィールドである。本年も4〜10月に14回の調査を遂行した。7科22種330個体を観察・記録した。この数値は5年間でもっとも低い値であった。結果をもとに同一地域のチョウ類群集の年間変動の大きさについて検討中である。 3)東京都小金井市小金井公園、および調布市野川公園:首都圏の公園緑地におけるチョウ類群集の定量的記録は皆無といってよい。そこで本年度は武蔵野地域に位置する標記2公園において4〜10月にいずれも26回の調査を遂行した。小金井公園で7科24種862個体、野川公園で7科35種1454個体を観察・記録した。環境指数の算定により野川公園の自然度が小金井公園を大きく上回り、里山環境に近いこと(いわゆる武蔵野の雑木林の環境が維持されていること)が明らかであった。この差はおもに樹林の下草として存在するササ類に依存するジャノメチョウ科、セセリチョウ科の種の目撃数に起因していた。ゆえにこれらの種は里山環境の指標として有効と判断した。 前年度までに得られた結果について他調査との比較などを行い、以下の結論を得た。 1)京都市桂川河川敷:1997年度に実施した結果について、関西の4ヶ所の住宅地との比較を行い、河川敷と住宅地の環境をチョウ類群集をもとに峻別できるかを検討した。その結果、定量的情報から算定される多様度指数ではなく定性的情報である種数をもとに算定される環境指数を用いることによって両環境の峻別が可能と結論した。またいくつかの河川敷に特徴的な種の存在も確認できた。 2)東京都港区赤坂御用地:対象地域は1997〜1999年に調査を行った東京都心の非公開緑地である。今年度は植生および植生管理について関係部局へおもむき貴重な情報を得た。本調査地の特殊な性格上、結果の公表法については関係部局と調整を行っている。
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Research Products
(1 results)