2000 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯生態系における環境汚染物質の挙動と人体への影響
Project/Area Number |
12680538
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩熊 敏夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60124335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
田中 教幸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10261348)
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Keywords | 熱帯泥炭湿地 / 有害汚染物質 / 重金属 / 三日月湖 / 水生生物食物網 / 同位体水文学 / 生態影響評価 / 健康影響評価 |
Research Abstract |
1)湖沼、河川、農地における有害汚染物質の地球化学的挙動:パランカヤ市郊外で採取した地下水、降水およびカハヤン川下流域の河川水の酸素同位体比を測定した。河川水の同位体組成には季節変動がみられず、雨水の同位体比と比較してはるかに低いことから雨水は河川水や地下水にほとんど混入していないと考えられた。中央カリマンタンの河川水、湖水等の全炭素濃度は0.46〜3.1mmolC/L、フミン酸濃度は23〜104mg/Lとかなり高かった。水田開墾地域の水路ではpHが2.6と低く、硫酸イオンによることが明らかになった。またこの試水からは0.29mg/Lの水銀が検出された。 2)大気中エアロゾル中のPAH等濃度の経時変動:パランカラヤ大学構内においてハイボリュームサンプラーでエアロゾルの連続採取を行った。 3)培養細胞系を用いた環境汚染物質の影響評価:予備研究としてトリブチルスズ等の環境汚染物質を含んだ水試料から血清培地を作製し、ラット培養細胞を培養してその細胞の生育状態を観察した。また細胞分化、修復、アポトーシス等に関わる細胞内因子の変動を酵素抗体法で測定し、併せてDNA損傷をタネル法およびラダー法で検出する手法の検討を行った。 4)異なる水理条件下の三日月湖生態系の比較研究:中央カリマンタンの三日月湖で水質・動物プランクトン・底生動物定期調査と昼夜連続観測を行った。本川に常時接続しているツンダイ湖では頻繁に湖水の鉛直混合が起こり溶存酸素は底(5m)まで行き渡るが、本川とは分離しているサブア湖の水温成層は著しく、溶存酸素は表層にしか行き渡らない。しかし生息条件の悪いと見られるサブア湖の動物プランクトン密度と種数はツンダイ湖の約3倍に達していた。またユスリカ科若齢幼虫が非常に高密度で水中に出現し、夜間や満月時には減少しており、魚類の捕食によると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kurasaki, M.et al.: "Metals in water in the Central Kalimantan, Indonesia."Bulletin of Environmental Contamination and Toxicology. 65. 591-597 (2000)
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[Publications] Iwakuma, T.et al.: "Preliminary study on limnological features of lakes and rivers in the peat swamp area of Central Kalimantan"Report of the Suwa Hydrobiological Station, Shinshu University. 12. 81-88 (2000)
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[Publications] Iwakuma, T.et al.(eds.): "Tropical Peatlands : Proceedings of the International Symposium on Tropical Peatlands, Bogor, Indonesia, 22-23 November 1999"Graduate School of Environmental Earth Science, Hokkaido University and RD Center for Biology, the Indonesian Institute of Sciences. 537- (2000)