2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による突然変異の誘導を調節するヒトの分子生理機構
Project/Area Number |
12680539
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 信夫 千葉大学, 医学部, 教授 (90111426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 純 千葉大学, 医学部, 助手 (30252886)
高橋 俊二 千葉大学, 医学部, 助手 (30311608)
喜多 和子 千葉大学, 医学部, 講師 (80302545)
菅谷 茂 千葉大学, 医学部, 教務職員
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Keywords | 遺伝子変異 / ヒト血清 / プロテアーゼ / ストレス |
Research Abstract |
ヒト個体において、紫外線(UVC)などにより遺伝子変異が誘導される際、その誘導感受性を調節する生理機能が存在することを見出している。即ち、ヒト細胞における変異誘導の際、その誘導の有無や変異頻度は、血清中のサイトカイン様因子により変異原因子曝露前にあらかじめ調節されているのである。しかも、血清因子の活性レベルは、ヒトのストレス状態で変動するらしいという新規ストレス応答機能である。サイトカインの一種であるヒトインターフェロンは変異誘導を抑制し、反対に、癌患者の血清因子は誘導頻度を上昇させるという試験管内実験での知見に基づくものである。この変異誘導調節の骨格は、(1)ヒトのストレス状態→(2)サイトカイン様血清因子→(3)プロテアーゼの活性化→(4)DNA修復などの核酸代謝に関与する遺伝子の情報発現→変異誘導の調節という過程である。平成12年度では、特に、(3)のプロテアーゼの抽出精製を進め、約35kDaタンパク質であることを同定し、アミノ酸配列を決定した。未知タンパク質であり、その遺伝子のクローニングを試行中である。また、インターフェロンあるいは血清因子の処理後や紫外線照射後の細胞で情報発現が変動される遺伝子探しも、RT-PCR mRNA differential display法などにより併行して行い、複数の遺伝子が同定された。一方、X線による誘導変異の頻度も紫外線と同様に調節を受けるとの示唆を与える実験結果を得た。さらに、健康者の尿中の8-OHdG量を測定し、ストレス負荷後の指標も設定することが可能となってきた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Arase,Y: "Prevention of v-Ha-Ras-dependent apoptosis by PDGF coordinates in phosphorylation of ERK and Akt."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 267. 33-39 (2000)
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[Publications] Hiwasa,T.: "Increase in ultraviolet sensitivity by overexpression of calpastatin in ultraviolet-resistant UV^r-1 cells derived from ultraviolet-sensitive human RSa cells."Cell Death and Differentiation. 7. 531-537 (2000)
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[Publications] Hirano,J.: "Low levels of NPM gene expression in UV-sensitive human cell lines."Cancer Letters. 153. 183-188 (2000)
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[Publications] Kita,K.: "Search for UV-responsive genes in human cells by differential mRNA display : involvement of human Ras-related GTP-binding protein, Rheb, in UV susceptibility."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 274. 859-864 (2000)
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[Publications] Takahashi,S.: "A novel mehtod of analyzing environmental chemical mutagens in human cell systems."Water Science and Technology. 428(7-8). 133-138 (2000)
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[Publications] Nomura,J.: "Increased and decreased expression of CD69 and CD23, respectively, in gravity-stressed lymphocytes."A viation, Space, and Environmental Medicine. (in press). (2001)