2000 Fiscal Year Annual Research Report
貝類に蓄積しているトリブチル錫などの有機錫の多様な毒性の解析
Project/Area Number |
12680544
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小山 保夫 徳島大学, 総合科学部, 教授 (80214229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 芳 徳島大学, 総合科学部, 講師 (00243676)
|
Keywords | トリブチル錫 / 有機錫 / アポトーシス / 細胞毒性 / 環境汚染 / 細胞死 / 環境影響評価 / トリフェニル錫 |
Research Abstract |
トリブチル錫の多様な細胞毒性の一端を明らかにする目的で、トリブチル錫の細胞内グルタチオンレベルに対する効果をラット胸腺細胞で蛍光色素(5メチルクロロフルオレッセイン)を利用してフローサイトメーターで調べ、以下の結果を得た。 1.トリブチル錫は3-10nMという極めて低濃度から細胞内グルタチオンレベルを用量依存性に低下させた。そして、100-300nMではほぼ枯渇させることが明らかになった。 2.トリブチル錫の細胞内グルタチオンレベルに対する効果は、他の有機錫(テトラブチル錫、トリフェニル錫、トリエチル錫、トリメチル錫など)よりも強かった。 3.トリブチル錫による細胞内グルタチオンレベルの低下(グルタチオンの枯渇)は細胞の酸化的ストレスに対する抵抗性を減弱させると考えられた。そこで、トリブチル錫の存在下に細胞に過酸化水素により酸化的ストレスを与え、細胞生存率の変化を調べた。しかし、予想に反し、トリブチル錫は過酸化水素による酸化的ストレスに影響を与えることなく、過酸化水素による細胞生存率の低下を軽減した。 4.そこで、過酸化水素による細胞死のプロセスとトリブチル錫による細胞死のプロセスは異なっているという仮説の下に、メナジオン(酸化的ストレスを起こす薬物)の過酸化水素、トリブチル錫による細胞生存率の低下に対する効果を調べた。メナジオンは過酸化水素による細胞生存率の低下は軽減したが。トリブチル錫のそれには影響を与えなかった。よって、細胞死のプロセスには違いがあることが考えられた。 5.さらに、トリブチル錫の過酸化水素による細胞死のプロセスに対する影響をアネキシンVで検討した。過酸化水素3mMではほとんど全ての細胞が細胞膜にアポトーティックな変化を起こすが、これにはトリブチル錫は影響を与えなかった。しかし、アポトーティクな細胞が細胞死に至るプロセスをトリブチル錫は遅らせることが解った。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Okada,Y. et al.: "Tri-n-butyltin-induced change in cellular level of glutathione in rat thymocytes : a flow cytometric study"Toxiology Letters. 117. 123-128 (2000)
-
[Publications] Okada,Y. et al.: "Cytotoxic action of tri-n-butyltin hydride, a nucleophilic triorganotin, on rat thymocytes : a flow cytometric study"Natural Sciences Research. 14. 21-34 (2001)
-
[Publications] Oyama,Y. et al.: "Protective action of tri-n-butyltin on the cells suffering from oxidative stress : Its implication in bioaccumulation"Natural Sciences Research. 14. 9-19 (2001)