2001 Fiscal Year Annual Research Report
貝類に蓄積しているトリブチル錫などの有機錫の多様な毒性の解析
Project/Area Number |
12680544
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小山 保夫 徳島大学, 総合科学部, 教授 (80214229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 芳 徳島大学, 総合科学部, 講師 (00243676)
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Keywords | トリプチル錫 / 有機錫 / カルシウム / 脳神経細胞 / 胸腺細胞 / 細胞死 / 環境汚染 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
トリブチル錫の多様な細胞毒性の一端を明らかにする目的で、ラット脳神経細胞および胸腺細胞を用いて実験を行い、下記の結果を得た。(トリブチル錫が細胞内Caイオン濃度を上昇させる点に留意すること) 1.トリブチル錫は30-100nMという環境中の生物(貝類などの軟体動物)が蓄積している濃度で、哺乳動物(ラット)脳視床下部神経細胞間のGABA神経伝達を増強させた。この増強は細胞外Caイオンを除外することで消滅するので、トリブチル錫が神経終末のCaイオン透過性を亢進させて、細胞内Caイオン濃度を高め、それがGABAの遊離を促進していると考えられた。さらに、トリブチル錫の濃度(300nM以上)を上昇させると神経細胞死を起こさせた。これらの実験結果から、野生生物に蓄積している濃度のトリブチル錫が食物連鎖を介して、海性動物のみならず、陸上動物にも影響を与える可能性が示唆された。 2.トリブチル錫の胸腺細胞に対する細胞毒性は細胞外のCaイオン濃度を低下させると著しく増強し、上昇させると若干軽減した。しかし、細胞外Caイオン濃度が高いほど、トリブチル錫が細胞をアポトーシスのプロセスに進める比率は高くなった。ところが、CaイオノフォアのA23187により細胞内Caイオン濃度を上昇させると、細胞死に至るプロセスの一部に遅延が観察された。このように、Caイオンはトリブチル錫の細胞毒性において促進・抑制の相反する作用を有していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kei Sakai: "Tri-n-butyltin delays the cell death induced by hydrogen peroxide in rat thymocytes"Environmental Toxicology and Pharmacology. 10. 95-101 (2001)
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[Publications] Kiyonori Kishimoto: "Nanomolar concentrations of tri-n-butyltin facilitate γ-aminobutyric acidergic synaptic transmission in rat hypothalamus neurons"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 299. 171-177 (2001)
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[Publications] Yasuo Oyama: "Protective action of tri-n-butyltin on the cells suffering from oxidative stress : Its implication in bioaccumulation"Natural Science Research. 14. 9-20 (2001)
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[Publications] Yoshihiko Okada: "Cytotoxic action of tri-n-butyltin hydride, a nucleophilic organotin, on rat thymocytes : a flow cytometric study"Natural Science Research. 14. 21-34 (2001)