2000 Fiscal Year Annual Research Report
瀬戸内海の海砂利採取に伴う濁度増加が生物生息環境に及ぼす影響
Project/Area Number |
12680545
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
門谷 茂 香川大学, 農学部, 教授 (30136288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 邦尚 香川大学, 農学部, 助教授 (80207042)
石田 智之 香川大学, 農学部, 教授 (40184535)
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Keywords | 海砂利 / 瀬戸内海 / 備賛瀬戸 / 高濁度水 / アマモ / 葉上堆積物 / シリカ / アルミニウム |
Research Abstract |
海砂利を採取する際、コンクリート骨材に利用される標準粒度以外は吐水として排出される。その中の粒径の小さな粒子は表面積が大きく、沈降するのに時間を要するため、周辺域に浮遊し、高濁度水の主たる要因となる。本研究では孔径0.125mm以下の粒子を浮遊粒子とし、その量を見積もった。堆積物中の孔径0.125mm以下の粒子は全体の0.84%を占める。1989と1999年の水深の変化から見積もった海砂利の採取量は10年間で3650万トンであった。これより、10年間で30.6万tの粒子が浮遊粒子となり、周辺域に拡散したことが明らかになった。 また、海砂利採取船周辺の浮遊物量は表層で79.44mg/lと他の海域の10〜15倍、水深25mでも2倍であった。これより、濁水は空間的に周辺海域に広がり、大規模な高濁度水塊が発生していることが示唆された。 さらに周辺海域への高濁度水の影響を明らかにするため、付近のアマモ葉上の微粒子の元素組成を分析した。葉上の微粒子はシリカとアルミニウムを多く含むの元素組成を示した。備賛瀬戸北部に流入する高梁川の河口の浮遊粒子はリンを最も多く含む元素組成を示し、河川より流入する粒子がアマモ葉上の微粒子の主な起源ではないことがわかった。これに対し、海砂利採取船付近の浮遊粒子はシリカとアルミニウムを多く含み、アマモ葉上の粒子と同じ様な元素組成を示した。 これより、アマモ葉上の微粒子が海砂利起源であることが示唆され、アマモヘ供給される光をカットしていることが明らかになった。供給される光の減少は植物の生息範囲を制限する。特にアマモ場は多様な生物の重要な生息空間であり、減少は生態系を貧弱化させる。本研究により海砂利採取時に発生する高濁度水が周辺のアマモ場に及ぼす負の影響が指摘された。今後、高濁度水の広がりの時空間特性及びアマモ葉上の微粒子と生育の関係を定量的に明らかにしていきたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Magni P.,Montani S.,Takada C.and Tsutsumi H: "Temporal scaling and relevance of bivalve nutrient excretion on a tidal flat of the Seto Inland Sea, Japan"Marine Ecology Progress Series. 198. 139-155 (2000)
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[Publications] Ueda N.,Tsutsumi H.,Yamada M.,Hanamoto K.and Montani S.: "Impact of oxygen-deficient water on the macreobenthic animals in Dokai Bay and on the tidal flats adjacent to the bay, in Kitakyushu, Japan"Marine Pollution Bulletin. 40. 906-913 (2000)
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[Publications] Tada K.,Pithakpol S.,Yano R.and Montani S: "Carbon and nitrogen content of Noctiluca scintillans in the Seto Inland Sea, Japan"Journal of Plankton Research. 22. 1203-1211 (2000)
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[Publications] Pithakpol S.,Tada K.and Montani S: "Ammonium and phosphate pools of PNoctiluca scintillans and their supplies to the water column in Harima PNada, the Seto Inland Sea, Japan"La mer. 37. 153-162 (2000)
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[Publications] Tada K.,Pithakpol S.,Ichimi K.and Montani S: "Carbon, Nitrogen, phosphorus, adn Chlorophyll a content of the large diatom, Coscinodiscus waillesii and its abundance in the Seto Inland Sea, Japan"Fisheries Science. 66. 509-514 (2000)
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[Publications] Magni P.and Montani S: "Water chemistry variability at the lower intertidal zone of an estuary in the Seto Inland Sea, Japan"seasonal patterns of nutrients and particulate compounds, Hydrobiologia. 432. 9-23 (2000)