2002 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀の中枢神経毒性発現機構の解明-ミトコンドリアへの影響を介した酸化的損傷
Project/Area Number |
12680548
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平山 紀美子 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70040235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 信子 熊本大学, 医療技術短期大学部, 助手 (80274728)
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Keywords | メチル水銀 / ミトコンドリア / 酸素消費量 / 活性酸素 / 神経毒性 / 消去系酵素 / GSH / ラット |
Research Abstract |
研究要旨 メチル水銀(MeHg)の神経毒性発現メカニズムの一つとして、酸化的ストレスの関与が示唆されている。MeHgによるミトコンドリアの機能障害、それによる活性酸素増加がMeHgの神経毒性発現の原因であるとすれば、ミトコンドリアにおける活性酸素産生量に影響を与える因子が神経系における感受性決定要因として役割を演じている可能性が高い。今回は、昨年の継続として、MeHg投与後14日目とその対照のラットについて、大脳、小脳のH_2O_2産生速度、消去系酵素(SOD, GSHPx、GR)の活性、GSH濃度の測定を行った。 その結果、対照群では大脳に比して小脳のミトコンドリアのH_2O_2産生速度は基質の如何に関わらずstate3で大きかった。また、対照群のstate4においてはどの基質下においても大脳と小脳で差はないが、MeHg曝露によりコハク酸基質の場合にのみ小脳でH_O_2産生速度が増加した。対照群のGSHPx活性及びGSH濃度は大脳に比して小脳で顕著に低く、MeHg曝露によってさらに小脳でGSH顕著に低下した。また、対照群のSOD活性は大脳と小脳で差はないが、MeHg曝露により小脳で活性低下が見られた。 以上の結果から、ミトコンドリアのGSHPxやSOD活性、GSH濃度がMeHg毒性の感受性決定因子として役割を演じている可能性が示唆された。
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