2001 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ抗原誘発性気管支喘息に対するディーゼル排気の影響とマウス系統差に関する研究
Project/Area Number |
12680550
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
市瀬 孝道 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50124334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 明 国立環境研究所, 大気影響評価研究室, 主任研究員 (20124349)
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Keywords | ディーゼル暴露 / ダニ抗原 / 喘息様病態 / 好酸球浸潤 / 粘液細胞 / サイトカイン / IgE抗体 / IgG1抗体 |
Research Abstract |
前年度はディーゼルエンジンを新しい規制法に基ずいた新型エンジンに交換したため、ガス暴露チャンバー内での粒子経やガス濃度調整に正時間を費やした。暴露可能となった前年度後半から本年度にかけて、ディーゼル排気(31mg/m^3)をBALB/c、ICRマウス、C3H/Heの3系統のマウスに8週間暴露した。その間、気管内チューブを用いて2週間間隔でダニ抗原(コナヒョウダニ:Derf)を4回気管内投与して、喘息様病態の増強作用を調べた。また、これらマウスの血清抗体価を調べ、病態発生の強さとの関連性を調べた。 その結果、ダニ抗原による気道粘膜下への好酸球浸潤と気管支上皮細胞の粘液細胞化がDE暴露で増強され、その強さの順はBALB/c<ICR<C3H/Heマウスの順であった。この時、肺組織中のIL5やeotaxin等のサイトカイン類の誘導が認められ、これらの各マウスの誘導量と好酸球性気道炎症の程度とよく対応していた。 一方、血中のIgE抗体価は誘導が見られず、IgG1はDE暴露によるアジュバント作用が観察された。その産生量もBALB/c<ICR<C3H/Hマウスの順であった。これらの結果から、気管支上皮の傷害は暴露により誘導されたIL-5やeotaxin等による好酸球誘導が強く関与し、IgG1抗体も気道の病態発現に重要であることが示唆された。本研究の結果から、ディーゼル暴露は感受性の高いマウスほどサイトカイン発現を強く起こし、それによって抗原誘発性の喘息用病態を強く起こすことが明らかとなった。
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