2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナホトカ号流出重油より単離した重油分解菌グループの重油分解能と分解機構
Project/Area Number |
12680564
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
中村 省吾 富山大学, 理学部, 助教授 (60134996)
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Keywords | ナホトカ号 / 重油分解菌 / バイオレメディエーション |
Research Abstract |
ナホトカ号から流出・漂着した重油から、計5種類(ODB-SG1〜5)の重油分解菌グループを単離することができた。そこで、単離した各グループに含まれる全ての菌について、種の同定と重油分解率の測定を行うことと、重油分解時における各菌の機能を明らかにすることを本研究の目的とした。 【研究の結果と考察】1.各グループに含まれる菌の種の同定:16SrRNA遺伝子の塩基配列、BioLogでの資化性テスト、そして形態観察から、ODB-SG1:Caulobacter sp.とAlcanivorax sp.、ODB-SG2:Halomonas sp.とAlcanivorax sp.、ODB-SG3:Deleya sp.、とAlcanivorax sp.、ODB-SG4:未同定、ODB-SG5:未同定とAlcanivorax sp.と、各グループの構成菌種が同定された。中でも、Alcanivorax sp.は、同定できたすべてのグループに存在していた。2.各菌の菌体成分の比較:各菌の菌体成分をSDSゲル電気泳動で比較したところ、各菌に特徴的なバンド配列が観察された。特に、Alcanivorax sp.と同定された4種の菌が、それぞれに特有のバンドを持っていたことから、これらは同属でも異なる種である可能性が示唆された。3.各菌及び菌グループの分解能:各菌グループ及び単独菌での、重油分解率を求めた。その結果、各分解率は、ODB-SG1:10.7%、ODB-SG2:13.1%、ODB-SG3:15.0%、ODB-SG4:13.3%、ODB-SG5:12.4%、となった。また、ODB-SG1とSG2では、分解能を持つ菌はどちらもAlcanivorax sp.であり、他の菌は分解能を持っていないことが判った。そして、Alcanivorax sp.単独の分解率は、各々4.9%、7.8%とグループでのそれより低く、分解能を持たない共存菌が、Alcanivorax sp.の分解能を高めていることが示唆された。4.各菌が持っている重油分解時の役割:これを解明するための基礎として、SG1およびSG2に含まれるAlcanivorax sp.の各培養液の上澄みを濃縮し、それに重油塊を投入したところ、重油塊が乳化するのが観察された。また、どちらも生物界面活性剤に多いリポ多糖を、分泌していることが、ゲル電気泳動で確かめられた。
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