2001 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中における芳香族化合物の分解・抱合体生成過程と関与する微生物群の解析
Project/Area Number |
12680568
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片山 新太 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 教授 (60185808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 彰 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (50231098)
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Keywords | ^<14>C標識 / ^<13>C標識 / キノンプロファイル / 抱合体 / 化学構造 / 微生物群集構造 / 核磁気共鳴吸収 / 土壌条件 |
Research Abstract |
現在、ダイオキシン、単環・多環芳香族化合物、ノニルフェノール等の芳香族化合物による土壌汚染が問題となっている。汚染土壌の微生物を用いた浄化処理が期待されているが、その際にはCO_2まで無機化できるのは約60%程度で、残りの殆どは分解に伴って化学構造不明の物質へと変化することを、本研究代表者は明らかにした。農薬分解の際にも同様の残留物が観察され「抱合体」と呼ばれているが、その化学構造や生成過程等は殆ど明らかになっていない。そこで本研究では、第一に、土壌の抱合体生成反応の追跡法を開発することを目的とし、第二に分解に関与する主要微生物群と抱合体生成反応との関係、すなわち抱合体生成過程を明らかにすることを目的とした。 まずフェノールを対象化合物として^<14>C標識キノンによる分解微生物群の検出を行った。名古屋大学慣行区土壌に[U-^<14>C]標識フェノールを添加し(404μg/g-dry soil)、畑水分条件(pF=1.8)下28℃で10日間培養した。培養後、各土壌試料のキノンプロファイルをHPLCで測定し、溶出液の放射能を測定して^<14>Cキノンプロファイルを求め、資化性菌群を推定し、回収率から抱合体生成量を求めた。培養3日後の主要^<14>C標識キノン種はユビキノン-10で、α-プロテオバクテリアが主要分解菌であることが示された。条件によっては、5日後にはこの主要分解菌がユビキノン-10(H2)へと変化した。これは糸状菌に含まれるキノン種である。更に、グルコースや安息鉱酸が同時に存在する条件では、グルコースが存在する場合は主要キノン種のユビキノン-10に加えて各種のメナキノンが標識され、また、安息鉱酸が存在する場合は、メナキノン-8(H4)やメナキノン-7の標識が目立った。フェノール分解の際の抱合体生成量は、60から80%に達した。共存物質の存在下では、抱合体生成量が低下することが彰かとなった。 また、核磁気共鳴吸収による抱合体構造と関与微生物の関係を調べるための実験系の構築を行った。Glucose資化性の無いAlcaligenes faecalis IFO13111株および資化性のあるBacillus subtilis subsp.subtilis IFO16412株の共存条件下で^<13>Cグルコースを添加し、B.subtilis IFO16412株の持つメナキノン-7の^<13>C標識の検出に成功し、モデル系での^<13>C標識法を確立することができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Katayama, A., Funasaka, K., Fujie, K.: "Changes in the respiratory quinone profile of a soil treated with pesticides"Biol. Fertil. Soils. 33. 454-459 (2001)
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[Publications] Maie, N., Watanabe, A., Kimura, M.: "Origin and properties of humus in the subsoil of irrigated rice paddies. IV. Effect of water percolation on the binding type of humus in a submerged plow layer soil"Soil Sci. Plant Nutr.. 47. 1-8 (2001)
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[Publications] Watanabe, A., Sarno, Rumbanraja, J., Tsutsuki, K, Kimura, M.: "Humus composition of soils under forest, coffee, and arable cultivation in hilley areas of south Sumatra, Indonesia"European J. Soil Sci. 52. 599-606 (2001)
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[Publications] Maie, N., Watanabe, A., Hayamizu, K., Kimura, M.: "Comparison of chemical characteristics of Type A humic acids extracted from subsoils of paddy fields and surface ando soils"Geoderma. 106. 1-19 (2001)