2001 Fiscal Year Annual Research Report
海洋原油汚染のバイオレメディエーションに伴う生態影響の評価
Project/Area Number |
12680571
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池 道彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40222856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立田 真文 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70314367)
藤田 正憲 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70029289)
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Keywords | 海洋原油汚染 / バイオレメディエーション / 生態毒性 / 生分解 / バイオオーギュメンテーション / 分散剤 |
Research Abstract |
アラビアンライト原油(約500mg/l)を含む人工海水に海水を起源とする原油分解菌集積培養系を植種した振盪フラスコにより海洋原油汚染のバイオレメディエーションを模擬し、原油分解過程における生態毒性の変化を調べることを通じて、生態インパクトの少ないバイオレメディエーション実施の戦略について考察した。ここで、生態毒性の指標には、海洋生態系の食物連鎖の最上位に位置する海産性藻類Dunaliella teriolecta、および末端に位置する海洋性細菌Vibrio campbelliiの増殖阻害によって評価する急性毒性(それぞれ独自に開発)と、umuテストによって評価される変異原性を用いたが、内分泌撹乱性については適当な評価手法を見出すことができなかった。また、バイオレメディエーションの模擬実験ではバリエーションとして、外来の原油分解菌の添加(バイオオーギュメンテーション)や原油の溶解性を向上させる分散剤(ここではTween 80を使用)の添加の有無について比較評価を行った。有効な分解菌群のバイオオーギュメンテーションや分散剤の添加は、原油分解、特に飽和分と芳香族分の分解を促進し、全体として海水の持つ急性毒性レベルを速やかに低下させることに寄与するものの、一時的に毒性の急上昇を引き起こすことが明らかとなった。各種の詳細な実験検討から、この原因は主に、多環芳香族成分の分解によって蓄積される毒性の高い中間体の蓄積と、分散剤による各種原油成分の溶解量の増加によるものと考えられた。従って、バイオレメディエーションの実施においては、浄化の促進を図ることのみを優先させるのではなく、生態毒性の生起を出来る限り抑制することにも注意を払うことが重要であることが示されたものといえる。
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