2001 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄循環ミニ生態系を導入した重金属汚染土壌の修復システム
Project/Area Number |
12680575
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小西 康裕 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90167403)
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Keywords | 汚染土壌 / 重金属 / 環境修復 / 硫黄循環 / 光独立栄養細菌 / 硫酸還元細菌 / 硫黄細菌 / バイオリーチング |
Research Abstract |
硫黄細菌を利用した汚染土壌処理システムの開発をめざし、次の諸点を明らかにした。 1.重金属汚染土壌からの重金属の浸出 充填層型反応器を用いて模擬低品位鉱(32〜53μm黄鉄鉱と30μmガラス粒子を質量比1:4で混合)のバイオ溶解実験(65℃、pH1.2)を行った。その結果、液相菌体濃度が著しく増大するに伴い、黄鉄鉱の溶解率は増加して7日目に100%に達した。本実験データが攪拌槽型反応器での実験結果に一致したことから、充填層型反応器でのバイオ溶解では液相が完全混合状態にあると見なせ、その溶解速度は液回分攪拌槽に対する速度モデルで推算できることがわかった。また、閃亜鉛鉱と黄鉄鉱が共存する鉱山廃棄物(篩径38〜53μm)のバイオ溶解実験では、閃亜鉛鉱の選択的溶解がA.brierleyiによって著しく促進され、その溶解速度は上記のモデルで定量的に説明できることが明らかになった。 2.浸出液中の重金属の沈殿・回収 硫酸還元細菌Desulfotomaculum auripigmentumの回分培養実験を行い、得られた実験データ(細菌の増殖速度、硫酸イオンの還元速度、硫化水素の生成速度)を速度解析した。その結果、D.auripigmentumの増殖パラメータは、増殖収率としてY_s=3.41×10^<13>cells/mol、また最大比増殖速度としてμ_m=0.52〜0.74d^<-1>が得られた。したがって、重金属イオンの沈殿発生剤である硫化水素の最大生産速度は、μ_m/Y_s=(1.52-2.17)×10^<-14>mol-H_2S/d/cellであると推定された。 3.トータル・システムの構築 1)金属硫化物で汚染された土壌からの重金属の浸出、2)浸出液からの重金属の沈殿・回収、3)余剰の硫化水素の無害化処理に関する各バイオ反応器から構成されるシステムを提案した。汚染土壌処理システムにおける律速段階は重金属のバイオリーチング過程であることがわかり、本システムの実用化に向けてはリーチング工程の処理速度を向上させることが重要である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 高島正, 福西直子, 西機忠昭, 小西康裕: "化学独立栄養細菌Thiobacillus denitrificansの連続培養における溶存硫化水素の嫌気的酸化"化学工学論文集(Kagaku Kogaku Ronbunshu). 28巻1号. 25-30 (2002)