2001 Fiscal Year Annual Research Report
リード・オプティマイゼーションによる抗アナフィラキシー型アレルギー剤の開発
Project/Area Number |
12680591
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大谷 和弘 広島大学, 医学部, 助教授 (20203820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 透 広島大学, 医学部, 教授 (90186586)
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Keywords | 坑アレルギー薬 / RBL-2H3細胞 / マスト細胞 / 坑塩基球 / microphyllone / カルシウムチャネル |
Research Abstract |
まずこの研究の第1次リード化合物となるmicrophylloneを用いて、本化合物が示す抗アレルギー作用の詳細な作用機序を解明することを目的に研究を進めた。その結果、以下のような事実を明らかにすることができた。1.Microphylloneは、ラット由来の白血病好塩基球RBL-2H3、ラット腹腔マスト細胞、ヒト好塩基球のいずれにおいても、抗原刺激による脱顆粒を有意に抑制した。これらの細胞でのIC50値はそれぞれ、17,20,36μMであり、細胞による大きな差は認められなかった。2.RBL-2H3細胞において、抗原以外の脱顆粒刺激、カルシウムイオノフォアであるionomycin、ATPase阻害剤であるthapsigarginを用いて脱顆粒抑制実験を行ったところ、そのいずれの刺激に対しても、IC50値20,16μMで有意に抑制した。3.RBL-2H3細胞において、カルシウム蛍光剤を使用して、細胞内カルシウムの胴体を観察したところ、IC50値付近では細胞内カルシウム小胞からのカルシウムの遊離は阻害せず一過性のカルシウム濃度の上昇が認められたが、それに引き続いて発生する細胞外カルシウムの細胞内への流入は完全に阻害していた。また、80μMでは細胞カルシウム小胞からのカルシウムの遊離も完全に抑制した。同様の結果はカルシウム放射性同位体を用いた実験でも得られた。以上の結果から、microphylloneの抗アレルギー作用は、主として細胞膜におけるCRACチャネルの阻害によるものであることが示唆された。 次に、microphylloneの電気化学的性質を明らかにするために、本化合物の酸化還元反応について検討した。その結果、microphylloneは、可逆的な二電子酸化還元波を、OV vs SCE、-0.6V vs SCEに持つことが明らかとなった。また、化学的に合成した酸化体も同様の酸化還元波を持つことも証明した。これにより、microphylloneの水溶液中での微量定量が可能となり、細胞や血清タンパクが存在する複雑な系においてもmicrophylloneの濃度(活量)を測定することが可能となった。この方法は同様なキノン系化合物にも適用でき、今後の研究にも活用可能である。
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