2001 Fiscal Year Annual Research Report
筋小胞体カルシウムポンプのN末端ドメインによる折りたたみの安定化機構
Project/Area Number |
12680602
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90207267)
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Keywords | SERCA / カルシウムポンプ / Ca^<2+>-ATPase / プロテアーゼ / ジスルフィド結合 / システイン / 可溶化 / フッ素 |
Research Abstract |
1.筋小胞体カルシウムポンプの第7、8膜貫通ヘリックス間内腔ループに存在するCys876とCys888の機能を調べた。兎骨格筋から単離した本酵素をペプシン消化し、ジスルフィド結合を含むペプチドを精製し、上記Cys間にジスルフィド結合が形成されていることを示した。本酵素の変異体C876A、C888A、C876A/C888AはいずれもCa^<2+>輸送機能を完全に失っていたが、ATPase触媒過程は野生型に比べて異常はなかった。これらの結果から、このジスルフィド結合がATP加水分解とCa^<2+>輸送の共役に重要な高次構造を安定化することを示唆した。 2.本酵素の細胞質ドメインはリン酸化ドメイン(P)、ヌクレオチド結合ドメイン(N)、細胞質小ドメイン(A)より構成されるが、触媒過程でこれらの3ドメインの集合状態変化を調べた。ProteinaseK(prtK)とV8によるAドメイン-膜ドメイン連結ループの(A-膜ループ)切断、trypsinによるAドメインの切断に対する抵抗性を解析した。その結果から、ATP結合E1(E1/ATP)およびADP感受性リン酸化酵素(E1P)でP、N、A-膜ループが集合し、Ca^<2+>輸送stepであるE1PからADP非感受性リン酸化酵素(E2P)への異性化によって3ドメインが最もコンパクトな構造になることを示唆した。 3.可溶化した筋小胞体カルシウムポンプはCa^<2+>無しで迅速に変性することから、Ca^<2+>非結合酵素の結晶解析などが困難であった。一方、Mg^<2+>とフッ素は本酵素に固く結合してE2Pのアナログとなる。そこでMg^<2+>/F^-結合型と、非結合型酵素を可溶化後、親和性カラムで精製し、4℃にてCa^<2+>無しでの可溶化安定性を調べた。Mg^<2+>/F^-非結合型酵素は5日の半減期で活性が消失するが、Mg^<2+>/F^-結合型酵素は20日以上活性は完全に保たれることを示した。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 大保 貴嗣: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのC876-C888ジスルフィド結合はATP加水分解とCa^<2+>輸送の共役に重要である"生化学. 72・8. 887-887 (2000)
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[Publications] 上堂地 美佳: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのVal-200への部位特異的変異導入はCa^<2+>-ATPase活性を抑制する"生化学. 72・8. 886-886 (2000)
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[Publications] 山崎 和生: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのマグネシウム・フッ素複合体はCa^<2+>非存在下でのC12E8による可溶化に対して安定である"生化学. 72・8. 887-887 (2000)
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[Publications] Danko Stefania: "ADP-insensitive Phosphoenzyme Intermediate of Sarcoplasmic Reticulum Ca^<2+>-ATPase Has a Compact Conformation Resistant to Proteinase K, V8 Protease and Trypsin"FEBS Letters. 489・2-3. 227-282 (2001)
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[Publications] 山崎 和生: "Ca^<2+>非存在下での可溶化筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのATP, ADP, およびMg^<2+>による安定化とイオン強度の影響"生化学. 73・8. 881-881 (2001)
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[Publications] Stefania Danko: "Proteinase K, V8, Trypsinによる限定分解によって明らかになった筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseの触媒過程におけるドメイン集合体変化"生化学. 73・8. 881-881 (2001)
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[Publications] 加藤 早苗: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのVal-200への変異導入はリン酸化中間体の迅速な異性化と加水分解を阻害する"生化学. 73・8. 881-881 (2001)
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[Publications] 大保 貴嗣: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPase (SERCA1a)のCys残基の部位特異的変異"生化学. 73・8. 881-881 (2001)
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[Publications] Daiho Takashi: "Mutations of Either or Both of Cys^<876> and Cys^<888> of Sarcoplasmic Reticulum Ca^<2+>-ATPase Result in a Complete Loss of Ca^<2+> Transport Activity without a Loss of Ca^<2+>-dependent ATPase Activity ROLE OF THE CYS^<876>-CYS^<888> DISULFIDE BOND"The Journal of Biological Chemistry. 276・35. 32771-32778 (2001)
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[Publications] Danko Stefania: "Organization of Cytoplasmic Domains of Sarcoplasmic Reticulum Ca^<2+>-ATPase in E_1P and E_1ATP States : a Limited Proteolysis Study"FEBS Letters. 505・1. 129-135 (2001)
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[Publications] Yamasaki Kazuo: "Remarkable stability of solubilized and delipidated sarcoplasmic reticulum Ca^<2+>-ATPase with tightly bound fluoride and magnesium against detergent-induced denaturation"The Journal of Biological Chemistry. 277(in press). (2002)