2000 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖による組織修復の制御機構-細胞外マトリックス分子機能の糖鎖調節-
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12680607
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 温子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (90143700)
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Keywords | ビトロネクチン / コラーゲン / 細胞外マトリックス / 組織修復 / 多量体形成 / 超遠心分析 / 糖鎖調節 / 肝線維化 |
Research Abstract |
糖鎖による組織修復の制御機構を解明する基礎として,細胞外マトリックスにおいて組織溶解を制御し、かつ細胞の接着や移動を仲介する糖タンパク質、ビトロネクチン(VN)の変化に着目した。本年度は、VNの糖鎖によるコラーゲン結合調節のメカニズムならびに肝障害時のVNの糖鎖変化およびコラーゲンとの相互作用について研究した。以下に研究成果を箇条書きにまとめた。 (1) VNの糖鎖を修飾するシアリダーゼ処理またはN-グリカナーゼ処理によって、VNの多量体形成が促進されることが、沈降速度法と沈降平衡法による超遠心分析により示された。 (2) VNとコラーゲンとの相互作用の特性をELISAにより調べたところ、 (5) 結合性は4℃より37℃で高く、pH4.5を最高にpH4-7で観測された。 (6) pH7では結合は主に静電的相互作用によるが、pH4.5では塩濃度の影響が小さい。 (7) 中性条件下で単量体を保つアルカリ処理コラーゲンと通常の凝集型コラーゲンとの結合性を比較すると、37℃でpH5-7においてコラーゲン凝集による著しい結合増強が示された。 (3) 慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌患者と健常者の血漿についてELISAによる測定から、肝疾患血漿中のコラーゲン結合性VNは増加していた。各血漿からVNを尿素変性法により精製したところ、精製量は肝疾患で減少し、特に病態の進行によって顕著に減少した。 (4) 健常者と患者からの精製VNではコラーゲン結合性にほとんど差がなかった。一方、精製VNのレクチン反応性から、肝疾患において肝再生時とは質的に異なるVN糖鎖のシアリル化、フコシル化および分岐の程度の変化が示唆された。 以上の結果からVNとコラーゲンとの相互作用は、双方の多量体形成によって著しく増強すること、ならびにVNの糖鎖修飾は多量体形成を調節することが示唆された。また線維化を伴う肝疾患患者では血中で活性型VN分子の割合が健常者に比べ増大することが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Uchibori-Iwaki H: "The changes in glycosylation after partial hepatectomy enhance collagen binding of vitronectin."Glycobiology. 10・9. 865-874 (2000)
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[Publications] Suzuki R: "Changes in glycosylation modulates the collagen-binding activity of vitronectin produced during liver regeneration."Glycobiology. 10・10. 1138-1138 (2000)
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[Publications] Ueda H: "Signal oligosaccharide for multimerization of Sophoragrin, a Sophora japonica bark lectin that aggregates sugar specifically."Glycobiology. 10・10. 1095-1096 (2000)
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[Publications] Matsumoto H: "Screening of a unique lectin from 16 cultivable mushrooms with hybrid glycoprotein and neoproteoglycan probes and purification of a novel N-acetylglucosamine-specific lectin from Oudemansiella platyphylla fruiting body."Biochim.Biophys.Acta. 1526(1). 37-43 (2001)
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[Publications] Asanuma K: "Multimerization and collagen binding of vitronectin is modulated by its glycosylation."Excerpta Medica ICS,2001. (in press). (2001)
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[Publications] Suzuki R: "Changes in glycosylation and collagen binding of vitronectin in liver cirrhosis."Excerpta Medica ICS,2001. (in press). (2001)
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[Publications] 小川温子,岩城はるひ: "「血小板生物学」第1章E「フィブロネクチン、ビトロネクチン」"(株)メディカルレビュー社(印刷中). (2001)