2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸Nスルホトランスフェラーゼの基質認識機構の解明
Project/Area Number |
12680611
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角田 佳充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00314360)
|
Keywords | X線結晶構造解析 / ヘパラン硫酸 / 硫酸転移反応 / 基質特異性 / スルホトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸Nデアセチレース/Nスルホトランスフェラーゼ(NDST1)は、線虫からヒトまで広く生物に存在し、ヘパラン硫酸の生合成過程において、硫酸基をその前駆体に転移する働きの第一段階に働く酵素である。NDST1が行う二つの反応(脱アセチル化と硫酸化)は,それぞれの酵素反応を担っているドメイン(デアセチラーゼ(DA)ドメインとSTドメイン)が行っていると考えられている。DAドメインは脱アセチル化反応を行い,その後STドメインが硫酸化を行う。硫酸基のドナーとして3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホスルフェート(PAPS)が使われる。NDST1のC末側約半分がSTドメイン(NST1)のPAPS及び基質特異性を決めている立体構造的基盤を解明するのが、本研究の目的である。 PAPSは反応後,3'-ホスホアデノシン-5'-ホスフェート(PAP)になるが、我々はすでにNST1-PAP複合体の結晶構造を報告してる。本研究において、NST1-PAPS複合体結晶を作成し、高輝度光科学研究センター(SPring8)のシンクロトロン放射光を用いて2.5Å分解能の回折データを収集することに成功した。現在、この立体構造の精密化を行っている段階にある。現時点においては、NST1のLys614とLys833がPAPSの硫酸基とリン酸基を結ぶブリッジ酸素原子と水素結合しうる距離にあることがわかった。このことは、酵素反応メカニズムにこれらの側鎖が直接働いていることを示唆する結果である。さらに結合水などの詳しい解析は、精密化の結果を待つ必要がある。基質との複合体については、6糖との複合体作成を何度か試みたが、成功にはいたらなかった。現在、基質としてより適切な10糖を用いて、基質複合体結晶を作成中である。
|
Research Products
(1 results)