2000 Fiscal Year Annual Research Report
NO合成酵素の自己阻害配列とカルモデュリンによる制御機構の解明
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12680624
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐上 郁子 東北大学, 反応化学研究所, 講師 (10143033)
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Keywords | NO合成酵素 / ヘム還元 / 電子伝達機構 / カルモデュリン / 自己阻害配列 / 二量体形成 |
Research Abstract |
NO合成酵素(NOS)は、情報伝達物質NOの合成を触媒する重要な酵素であり、ヘムを含むオキシゲナーゼドメインと還元酵素ドメインの二つのドメインからなる複合酵素である。NOSは二量体の時のみ活性型となり、活性は両ドメインの間に存在するCaM結合部位へのCa2+/CaMの結合によって制御されている。CaMが結合することによって初めて、電子が一つのサブユニットの還元酵素ドメインからもう一方のサブユニットのオキシゲナーゼドメインのヘムへと伝達されると言われている。ところが、神経型NOSの自己阻害配列といわれる部位の欠失変異体(Δ40)を作成し解析したところ、CaM非存在下でも活性を示した。そこでCaM非存在下での欠失変異体の電子伝達機構を解析する目的で、今回野生型およびΔ40の基質結合部位の変異体(それぞれE592A、E592AΔ40)を作成した。またE592Aのヘムドメインのみの変異体(E592Aox)の発現プラスミドを作製し,大腸菌で発現を行なった。これら変異体の各種スペクトルおよびNO合成活性や還元酵素活性,嫌気ボックス内でのヘム還元速度などを測定し、構造と機能の解析を行なった。その結果E592Aを含む変異体では、基質アルギニンの結合が起こらず活性もないことがわかった。E592AΔ40変異体では活性はないもののΔ40と同様にCaM非存在下でNADPHによるヘムの還元が起こることをあきらかにした。urea処理によって二量体の解離を行い さらに再会合による完全長のサブユニットとオキシゲナーゼドメインのみのサブユニットからなるヘテロダイマーの構築を検討した。二量体の解離には、3Murea/1% Tween/1mMDTTの条件が至適であることが分かった。また、FPLCを用いたゲルろ過法やSDS-PAGEによってヘテロダイマー形成を確認した。さらに現在、ヘテロダイマーを用いて、CaM非存在下および存在下でのヘムの還元や反応活性を測定し、ドメイン間の電子伝達機構の解析を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sagami,I.,Sato Y.,Daff,S.N.,and Shimizu,T.: "Aromatic Residues and Neighboring Arg414 in the(6R)-5,6,7,8-Tetrahydro-L-Biopterin Binding Site of Full-length Neuronal Nitric-oxide Synthase Are Crucial in Catalysis and Heme Reduction with NADPH"J.Biol.Chem.. 275(34). 26150-26157 (2000)
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[Publications] Miyajima,M.,Sagami,I.,,Daff,S.N.Migita,C.T.,and Shimizu,T.: "Azo Reduction of Methyl Red by Neuronal Nitric-oxide Synthase : the Important role of FMN in Catalysis."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 275. 752-758 (2000)
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[Publications] Yumoto,T.,Sagami,I.,,Daff,S.N.and Shimizu,T.: "Roles of the Heme Proximal Site Residues Tryptophan409 and Tryptophan421 of Neuronal Nitric Oxide Synthase in the Electron Transfer Reaction"J.Inorganic Biochem. 82. 163-170 (2000)
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[Publications] Sato Y.,Sagami,I.,Matsui T.,and Shimizu,T: "Unusual role of Tyr588 of neuronal nitric oxide synthase in controlling substrate specificity and electron transfer"Biochem.Biophys.Res.Commun.. (in press). (2001)