2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680628
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松山 東平 新潟大学, 医学部, 助教授 (00047200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
仲川 洋治 新潟大学, 農学部, 教授 (10018799)
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Keywords | 細菌 / バイオフィルム / 薬剤耐性 / Serratia marcescens / Proteus mirabilis / 細菌集団行動 / 集団構造 / 表面 |
Research Abstract |
今年度の研究成果は、下記の通りである。 1.可動性板ガラス表面にバイオフィルムを形成させ、バイオフィルム及び関連浮遊細胞の抗菌活性にグレードがあることを解析する実験系を開発した。これにより、バイオフィルムのMICとMBCを正確に測定するとともに、バイオフィルムと共存する浮遊菌が、通常の浮遊菌よりも薬剤耐性になっていることを示した。菌を薬剤耐性にするバイオフィルム内シグナルが、共存する浮遊菌にも作用している可能性があり、解析を進めている。 2.Serratia marcescens ATCC 274株にトランスポゾンを挿入して得た変異株の中で、バイオフィルムを形成するが薬剤耐性を喪失した変異株を、我々独自のスクリーニング法で数株分離出来た。これより、バイオフィルム形成が薬剤耐性に直結しないことを明示出来た。さらに、薬剤感受性のスペクトルが変異株によって異なることを明らかにした。それぞれの薬剤に対応したバイオフィルム耐性があると思われ、単純な薬剤拡散阻害では説明できないことを示した。 3.バイオフィルムのなかでは、菌どうしが特異な相互関係を築いていると推測されている。我々は、特徴のある集落パターンについて、それがどうしてそうなるのかを以前より解析している。Proteus mirabilisの同心円集落では、菌の分布が一様ではなく、菌体の長さ、菌一個あたりのべん毛の数、表面遊走能が異なる菌が周期的に特定の配列で分布しており、単細胞生物である細菌が分化と生理活性遷移により構造性のある集団を作れることを明らかにした。またこの集落の成長は、連続的ではなく、間に休止期が入り一定のリズムで進行する。それは、培地中栄養分消費や老廃物蓄積に対応したものではなく、菌の内的行動プログラムによっていること、集落内の菌特異分布を乱すとそのプログラムが変調することを明らかにした。細菌集団が単なる烏合の衆ではなく、意志のある機能集団である実例と思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Matsuyama: "Dynamic aspects of the structured cell population in a swarming colony of Proteus mirabilis"J.Bacteriol.. 182. 385-393 (2000)
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[Publications] H.Itoh: "Periodic colony formation of bacteria due to their cell reproduction and movement"Progr.Theoret.Phys.. Suppl 139. 139-151 (2000)
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[Publications] J.Wakita: "Periodic colony formation by bacterial species Bacillus subtilis"J.Phys.Soc.Jpn.. (in press).
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[Publications] T.Tachibana: "Sporothrix schenckii thermo-intolerant mutants losing fatal visceral infectivity but retaining high cutaneous infectivity"Med.Mycol.. (in press).