2001 Fiscal Year Annual Research Report
2-アラキドノイルグリセロール(カンナビノイド受容体リガンド)の生理的役割
Project/Area Number |
12680640
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
和久 敬蔵 帝京大学, 薬学部, 教授 (90013854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 助手 (60234217)
山下 純 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80230415)
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 教授 (40130009)
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Keywords | 2-アラキドノイルグリセロール / カンナビノイド受容体 / ケモカイン / HL-60細胞 / 神経伝達 / 血管系 |
Research Abstract |
2-アラキドノイルグリセロールは、我々のグループと、イスラエルのMechoulamのグループが1995年に独立に見い出した新しいタイプの脂質メデイエーターである。2-アラキドノイルグリセロールは、これまでの研究で、マリファナの受容体であるカンナビノイド受容体に結合することが明かとなっている。 今年度の研究では以下の点を明らかにした。 1.2-アラキドノイルグリセロールの作用をHL-60細胞を用いて解析を行い、2-アラキドノイルグリセロールがIL-8やMCP-1などのケモカイン産生を増大させることなどを明らかにした。ケモカイン産生の増大は、LPSで刺激した細胞で特に顕著であった。2-アラキドノイルグリセロールは免疫・炎症系で重要な役割を演じているメディェーターである可能性がある。 2.次に、2-アラキドノイルグリセロールを蛍光誘導体にし、HPLCを用いて定量を行った。その結果、ピクロトキシニン等の中枢神経興奮薬を投与したラットの脳では、2-アラキドノイルグリセロールのレベルが著しく上昇していることが明かとなった。同様の結果は、断頭したラットの脳でも観察された。また、脳ホモジネートをカルシウムイオンの存在下インキュベートすることにより、2-アラキドノイルグリセロールが速やかに生成することが分かった。2-アラキドノイルグリセロールは神経系において刺激に応じて産生され、神経伝達の調節等において重要な役割を演じているメディエーターである可能性が高い。 3.2-アラキドノイルグリセロールを動物に投与することにより、血圧の低下が起きることがわかった。血圧低下作用は2-アラキドノイルグリセロールの安定なアナログであるエーテル型アナログで特に顕著に観察された。一方、摘出したラットの心臓の血管においては、ノルエピネフリンの放出を増大させることなどが明かとなった。2-アラキドノイルグリセロールは血管系においても、何らかの重要な役割を演じている物質である可能性がある。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sugiura T.: "2-Arachidonoylglycerol: an endogenous cannabinoid receptor agonist"World Rev.Nutr.Diet.. 88. 200-206 (2001)
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[Publications] Kobayashi Y.: "Activation by 2-Arachidonoylglycerol,an Endogenous Cannabinoid Receptor Ligand,of P42/44 Mitogen-Activated Protein Kinase in HL-60 Cells"J.Biochem.. 129. 665-669 (2001)
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[Publications] Yamaguchi T.: "Endogenous cannabinoid,2-archidonoylglycerol,attenuates naloxone-precipitated withdrawal signs in morphine-dependent mice"Brain Res.. 909. 121-126 (2001)
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[Publications] Kurihara J.: "2-Arachidonoylglycerol and Anandamide Oppositely Modulate Norepinephrine Release from the Rat Heart Sympathetic Nerves"Jpn.J.Pharmacol.. 87. 93-96 (2001)
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[Publications] Suhara Y.: "Synthesis and Biological Activities of Novel Structural Analogues of 2-Arachidonoylglycerol,An Endogenous Cannabinoid Ligand"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 11. 1985-1988 (2001)
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[Publications] Kagota S.: "2-Arachidonoylglycerol,a candidate of endothelium-derived hyperpolirizing factor"Eur.J.Pharmacol.. 415. 233-238 (2001)
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[Publications] 山下 純: "基礎生化学実験法第5巻「脂質・糖質・複合脂質」"東京化学同人. 338 (2000)