2001 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトール3リン酸受容体のCa^<2+>によるフィードバック調節の生理機能の解析
Project/Area Number |
12680652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道川 貴章 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90282516)
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Keywords | イノシトール3リン酸 / カルシウム / セカンドメッセンジャー / カルモデュリン |
Research Abstract |
イノシトール3リン酸(IP_3)は、細胞外からの刺激により産生されるセカンドメッセンジャーであり、細胞内Ca^<2+>貯蔵器官上に存在するIP3受容体(IP3R)/Ca^<2+>放出チャネルに結合し開口させることにより複雑なパターンのCa^<2+>濃度上昇を細胞質内に引き起こす。これまでにIP_3R自身が細胞質Ca^<2+>により二相性(活性化および不活性化)の活性制御を受けることが知られており、さらに研究代表者はCa^<2+>によるIP_3Rの活性化はCa^<2+>が直接IP_3R分子に作用して起きること、およびCa^<2+>による不活性化にはカルモデュリン(CaM)が関与していることを明らかにしてきた。本研究では、これらの活性制御に関与する部位に変異を加えた受容体によって形成されるCa^<2+>動態を観察することで、IP_3RのCa^<2+>によるフィードバック調節の生理的意義を解明することを目的に解析を行い、本年度は以下の成果を得た。 1 昨年度に確立した方法に基づき樹立した、IP_3Rを安定にかつ大量に発現する細胞株から膜画分を調整し、人工脂質二重膜へ再構成することで、組み換えIP_3Rのチャネル活性のシングルチャネルレベルでの解析を可能とする実験系を確立した。 2 上記の実験系を用いて、既存のCaM結合部位に変異を加えたIP_3RのCa^<2+>依存性を測定したところ、予想に反して野生型IP_3Rと同様にμMオーダーのCa^<2+>により抑制が掛かることがことが明らかとなった。また、この変異受容体に対するCa^<2+>による抑制効果は依然CaMアンタゴニストにより解除されることから、これまでに明らかとなっていない別のCaM結合部位がCa^<2+>によるIP_3Rの抑制に関与していることが示唆された(投稿準備中)。
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Research Products
(1 results)