2000 Fiscal Year Annual Research Report
[NiFe]ヒドロゲナーゼにおける水素活性化機構の構造化学的研究
Project/Area Number |
12680654
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋口 芳樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90183574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 俊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90283457)
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Keywords | 準動的X線結晶解析 / ヒドロゲナーゼ / Ni-Fe活性部位 / CO配位子 / 超高分解能結晶解析 / タンパク質間相互作用 / タンパク質-配位子相互作用 / 極低温結晶解析 |
Research Abstract |
ヒドロゲナーゼの活性阻害剤・CO分子結合型の超高分解能X線結晶解析に成功した.結晶構造解析は1.4Aを越える超高分解能・超高精度解析となった.構造精密化は低分子化合物の解析用に開発されたプログラム・SHELXを用いて行った.結晶構造はR因子12%まで精密化された.外部から導入したCO分子はNi-Fe活性中心のFe原子ではなくNi原子に結合していた.これはDFT・理論化学計算から予想された結果とは異るものであった.生体高分子中のNi原子とCO分子の結合状態をX線結晶解析で示したのは本研究が最初である.また共鳴ラマン分光法によりNi原子とCO分子との結合による特徴的と思われるスペクトルの取得に成功した.共鳴ラマン法の結果はCO分子はNi原子に対して少し曲がった配位角度で配位していることを示していたが,結晶構造かっらもそれが確認された.Ni原子とCO分子の配位結合距離は1.7Aであった.CO結合型ヒドロゲナーゼの電子密度図を詳細に調べた結果,Ni原子に結合したCO分子とNi原子のもともとのアミノ酸配位子・システイン残基のイオウ原子との間に余分の電子密度を確認することができた.この余分の電子密度は反応途中の水素分子が阻害剤・CO分子の導入により偶然活性部位にトラップされたものである可能性が高い.また,このシステインのイオウ配位子は他のイオウ配位子と比べて極めて大きな温度因子を示しており、水素活性化のメカニズムで重要であることが明らかになった.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] N.Mizuno 等: "Preliminary X-ray Crystallographic Study of DsrD Protein from the Sulfate-reducing Bacterium Desulfovibrio vulgaris"Acta Crystallographica. D56. 754-755 (2000)
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[Publications] K.Suto 等: "How do the X-ray Structure and the NMR Structure of FMN-binding Protein Differ ?"Acta Crystallographica. D56. 368-371 (2000)
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[Publications] O.Trofanchuk 等: "Single Crystal EPR Studies of the Oxidized Active Site of [NiFe] Hydrogenase from Desulfovibrio vulgaris Miyazaki F"J.Bioinorganic Chemistry. 5. 36-44 (2000)
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[Publications] Y.Higuchi 等: "The Presence of SO Molecule in [NiFe] Hydrogenase from Desulfovibrio vulgaris Miyazaki, as Detected by Mass Spectrometry"J.Inorganic Biochemistry. 80. 205-211 (2000)
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[Publications] 樋口芳樹: "ヒドロゲナーゼの立体構造と機能発現"日本生物物理学会誌. 40・4. 249-253 (2000)
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[Publications] 樋口芳樹: "ヒドロゲナーゼ活性中心の反応機構"現代化学. 8. 51-56 (2000)
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[Publications] 八木達彦,樋口芳樹: "廣川タンパク質化学"廣川書店. 340 (2000)