2000 Fiscal Year Annual Research Report
自由エネルギー地形計算による蛋白質のフォールド予測とフォールディング過程の解析
Project/Area Number |
12680657
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (80134485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 伸介 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60324852)
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Keywords | 構造探索 / 分子動力学 / ペプチド構造 / β-ヘアピン / 水素結合 / 不規則構造 / シミュレーション計算 / マルチカノニカル統計 |
Research Abstract |
蛋白質の天然状態は自由エネルギーの低い構造をとることから、蛋白質分子の主要な自由エネルギー地形を算出して自由エネルギーの低い複数の蛋白質の立体構造を選択することによって、そのフォールドを高精度に予測し、フォールディング過程の解析も合わせて行うことを目的とする。本研究の申請者である中村および中島は、マルチカノニカル分子動力学法のアルゴリズムを開発し、水溶液中の2量体ほどの非常に短いペプチドの自由エネルギー地形を計算機シミュレーションによって既に得ていた。平成12年度には、1本のβ-ヘアピンとランダムコイルをそれぞれ水溶液中で形成することが確認されている10残基程度の長さの2本のペプチド鎖を蛋白質のモデルとして選択し、リアルな水分子を溶媒分子として、Cell Multipole Method(CMM)法によって静電力をカットオフしない手法で計算を行った。長時間の構造サンプリング後、得られたマルチカノニカル・アンサンプルから常温でのカノニカル・アンサンプルを再構築した。その結果、(1)円偏光二色性実験でランダムコイル様のCDスペクトルが観測されたペプチドは、シミュレーションにおいては、90%以上の圧倒的に多い存在確率をもつものは、分子内水素結合がない不規則性構造ばかりであった。(2)β-ヘアピンが実験で観測されるペプチドに対しては、59%程度が分子内水素結合のない不規則構造であったが、約35%ほどの存在確率で、β-ヘアピン様の構造が観測された。(3)以上のように、ほぼ同じ長さのアミノ酸配列でも、配列の違いによってその二次構造傾向性に大きな違いがでることがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakajima,Nobuyuki: "Free energy landscapes of peptides by enhanced conformational sampling."Journal of Molecular Biology. 296. 197-216 (2000)
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[Publications] Ono,Satoshi: "Peptide free energy profile is strongly dependent on the force field : Comparison of C96 and AMBER95."Journal of Computational Chemistry. 9. 748-762 (2000)
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[Publications] Galzitskaya,Oxana V.: "β-hairpin folds by molecular dynamics simulations"Chem.Phys.Lett.. 326. 421-429 (2000)
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[Publications] Higo,Junichi: "Energy landscape of a beta-hairpin peptide in explicit water studied by multicanonical molecular dynamics."Chem.Phys.Lett.. (in press). (2001)
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[Publications] Higo,Junichi: "Energy landscape of a peptide consisting of α-helix, 3_<10>-helix, β-turn, β-hairpin, and other disordered conformations."Protein Science. (in press). (2001)