2000 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞の多分化能を維持する転写因子STAT3の標的遺伝子群の探索
Project/Area Number |
12680669
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小出 寛 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (70260536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 崇 東京大学, 医科学研究所, 客員教授 (50134622)
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Keywords | 幹細胞 / 蛋白質 / 分子生物学 / 生化学 / シグナル伝達 / 転写因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
今年度は,コンディショナル活性型STAT3(STAT3-ER)を恒常的に発現するES細胞株を用い、STAT3を活性化したES細胞と活性化していないES細胞の間で発現量が異なる遺伝子を、サブトラクション法やマイクロアレイ法によって探索した。またES細胞をLIF存在下で培養した場合と非存在下で培養した場合の間で発現量の異なる遺伝子についても、同様の方法で探索した。その結果、LIFやSTAT3の標的遺伝子と思われる候補遺伝子を多数見いだした。現在、各々の候補遺伝子について、RT-PCR法やNorthern blotting法を用いて、実際にLIFやSTAT3の下流で発現が誘導されることを確認中である。 候補遺伝子の探索と平行して、今後得られた遺伝子が実際にES細胞の多分化能維持に関与しているかどうかを検証するための実験系の確立も行った。そのために、まずInternal ribosome-entry site(IRES)を利用することによって1つのmRNAから目的遺伝子とpuromycin耐性遺伝子の両者を同時に発現できるベクターを開発した。このベクターが有用であることを調べるために、STAT3-ERをこのベクターに組み込み、ES細胞に導入した。その後、この細胞をLIF非存在下でpuromycinで選択したところ、STAT3を活性化させた場合にはpuromycin耐性のコロニーが認められたが、STAT3が活性化されていない場合にはコロニーが親察されなかった。この結果はES細胞の多分化能維持にSTAT3が必要充分であるという結果と一致していて、このベクターを用いることによって得られた遺伝子をさらに絞り込めることを示唆している。今後はこのアッセイ系を用いて、得られたSTAT3の標的遺伝子の中から、ES細胞の多分化能維持に働いている遺伝子を同定していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamazaki,Y.,Kaziro,Y. & Koide,H.: "Ral promotes anchorage-independent growth of a human fibrosarcoma, HT1080."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 280. 868-873 (2001)
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[Publications] Suzuki,J.,Kaziro,Y.& Koide,H.: "Positive regulation of skeletal myogenesis by R-Ras."Oncogene. 19. 1138-1146 (2000)
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[Publications] Suzuki,J.,Koide,H. et al.: "Involvement of Ras and Ral in chemotactic migration of skeletal myoblasts."Mol.Cell.Biol.. 20. 4658-4665 (2000)
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[Publications] Nakayama,N.,Yokota,T. et al.: "A novel chordin-like protein inhibitor for bone morphogenetic proteins."Dev.Biol.. (in press). (2001)
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[Publications] Sato,A.,Yokota,T. et al.: "Cloning and expression pattern of a Xenopus pronephros-specific gene, XSMP-30."Mech.Dev.. 92. 273-275 (2000)