2001 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体から核への細胞内情報伝達を伴う転写誘導機構UPRの解析
Project/Area Number |
12680692
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70182194)
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Keywords | 小胞体 / 情報伝達 / 転写因子 / マイクロアレー / 分子シャペロン / フォールディング酵素 / アルツハイマー病 / プレセニリン |
Research Abstract |
われわれが小胞体から核への細胞内情報伝達を伴う転写誘導機構UPRに特異的な転写因子として単離したヒト・ベーシック・ロイシンジッパータンパク質ATF6は小胞体膜に埋め込まれたII型の膜貫通型タンパク質であり、プロテオリシスにより活性化される。ATF6についてさらに詳細に解析し、以下の知見を得た。(1)ATF6のプロテオリシスによる活性化を阻害する阻害剤を市販のプロテアーゼインヒビターの中からスクリーニングし、セリンプロテアーゼインヒビターであるAEBSFが300μMの濃度でかなり特異的な阻害効果を示すことを見いだした。さらにその時、UPRの標的遺伝子であるBiP/GRP78の転写が強く抑制されたことから、ATF6の活性化がUPRに重要であるというわれわれの提唱が支持された(投稿準備中)。 (2)マイクロアレー技術を用いてUPRの標的遺伝子を網羅的に解析したところ、調べた2,400の遺伝子のうち、20個の遺伝子が小胞体ストレスにより誘導された。活性型のATF6をTet-Offのシステムを用いて発現させてマイクロアレーにより調べると、20個のうち10個の遺伝子がATF6により直接制御されており、そのうち8個は小胞体に存在する分子シャペロンやフォールディング酵素であった。すなわちATF6の活性化は、小胞体内のフォールディングの容量の増加に直結していることが明確に示された(投稿中)。 (3)家族性アルツハイマー病の原因遺伝子であるプレセニリンに変異が入るとATF6の活性化が抑制されることを見いだし、プレセニリン変異細胞の小胞体ストレスに対する脆弱性への寄与が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Katayama, Imaizumi, Honda, Yoneda, Kudo, Takeda, Mori, Rozmahel, Franser, George-Hyslop, Tohyama: "Disturbed Activation of Endoplasmic Reticulum Stress Transducers by Familial Alzheimer's Disease-linked Presenilin-1 Mutations"THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY. Vol.276, No. 46. 43446-43454 (2001)