副腎皮質と生殖腺の共通原基の分化に関与する転写因子と分化抑制因子の役割

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12680720
• Research Institution: Nara Medical University
• Principal Investigator: 秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40164850)
• Keywords: Ad4BP / SF-1 / Pref-1 / WT1 / Emx2 / 副腎皮質原基 / 生殖腺原基 / 発生分化 / 形態形成

Research Abstract

著者は、ステロイド合成酵素の共通転写因子Ad4BP/SF-1の発現解析より副腎皮質原基と生殖腺原基が共に由来する共通原基(副腎皮質-生殖腺原基Adreno-genital primordiumと命名)を見い出した。本研究では、この共通原基の分化を制御する因子群を見い出し、それら分子の役割の解明を目的とする。
副腎皮質-生殖腺原基の分化を制御する候補分子としてPref-1(別名ZOG)を見い出した。Pref-1は脂肪前駆細胞の分化抑制機能をもつが、副腎皮質形成時期および再生副腎過程の発現解析より、副腎皮質においても組織を未分化な状態に維持する分化抑制機能をもつことが示唆された。又、副腎皮質-生殖腺原基の分化過程で、Pref-1と生殖腺形成に必須の転写因子WT1は、お互いに相補的な発現パターンを示した。そこで、Pref-1遺伝子プロモーターの構造解析を行ない、プロモーター内にWT1の結合配列が存在することが明らかになった。更にPref-1プロモーター制御下のレポータープラスミドとWT1発現プラスミドを用いたプロモーターアッセイにより、Pref-1の転写がWT1によって抑制されること、およびWT1結合配列に塩基置換を導入すると転写抑制がおこらないことを見い出した。これらの結果からWT1が生殖腺原基側においてPref-1の発現を抑制することが、副腎皮質-生殖腺原基から生殖腺原基への分化に必要であることが示唆された。また、ノックアウトマウスの解析より生殖腺形成に必須であることが明らかになっている転写因子Emx2の抗体を作成し、Pref-1,WT1,Ad4BP/SF-1の発現との関連を調べている。

Research Products

• [Publications] Takemori-H, et al.: "Characterization of a proximal element in the rat preadipocyte factor-1 (Pref-1) gene promoter."Eur.J.Biochem.. 268. 205-217 (2001)
• [Publications] Hatano-O, et al.: "Genesis of the adrenal cortex and gonads from their common primordium."Frontier Science Series : Molecular Steroidogenesis.(Universal Academy Press Inc.). 29. 197-200 (2000)
• [Publications] Takemori-H, et al.: "Characterization of proximal element in the rat Pref-1 (ZOG) gene promoter."Frontier Science Series : Molecular Steroidogenesis.(Universal Academy Press Inc.). 29. 209-212 (2000)
• [Publications] Harada-N, et al.: "Histological legions in aromatase-deficient mice."Frontier Science Series : Molecular Steroidogenesis.(Universal Academy Press Inc.). 29. 133-136 (2000)
• [Publications] 秦野修: "基礎生化学実験法 第3巻 第5章 細胞内・組織上での検出"東京化学同人. 7 (2001)