2000 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤の発生分化におけるNotch2シグナリングとその分子機構
Project/Area Number |
12680724
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
濱田 義雄 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10132739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智 東京大学, 大学院・農学・生命科学研究科, 助教授 (90242164)
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Keywords | Notch2 / 胎盤 / 血管内皮 / キムラ解析 |
Research Abstract |
Notch2は受容型膜タンパク質で細胞の分化運命の決定に関与すると考えられる。そこでわれわれはその変異マウスを作製し、これまでその表現系を解析してきた。変異マウスは妊娠11.5日までに致死となり、その原因は胎盤の機能不全を示唆する結果を得ていた。本研究は、その変異よってもたされた致死原因となる組織および細胞種を解明し、そこにおけるNotchシグナル伝達系の分子機構を明らかにすること目的とした。 初年度では以下の事柄が判明した。 1.Notch2変異はtrophoblast由来の胎盤を構成する3種類の細胞、giant cell、spongiotrophoblast、labyrinthine trophoblastの分化運命を変えることはなかった。 2.胎生10.5日のNotch2変異マウスの胎盤では胎児性の血管新生が起きていない。 3.4倍体の野性型受精卵とのキメラではNotch2変異マウスは1-2日、発生を進めることができた。このことは致死原因は胎盤の機能不全にあることを示している。 4.しかしながら、このキメラでは胎生12.5日以降の発生は進まない。Allantoisの間葉細胞の分化、増殖、移動が不完全である。 5.2倍体の野性型受精卵とのキメラでは変異細胞は全ての組織に寄与することが出来る。Notch2変異は細胞の分化能に影響を与えていないように思える。 Notch2変異はlabyrinthine trophoblast の分化そのものではなく、機能の不全をもたらしていると考えられる。胎児性の血管内皮細胞の分化を促進出来ないのか、それとも母親との栄養、ガス交換を正常に行う機能が不全なのかについて今後の研究が必要である。
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