2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞体及び軸索に蓄積したニューロフィラメントと神経変性疾患との関係
Project/Area Number |
12680741
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
後藤 隆洋 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (20135693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 安男 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10049091)
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Keywords | ニューロフィラメント / 神経細胞 / NF-L欠損マウス / NF-H欠損マウス / NF-HC末端欠損マウス / クロスブリッジ / 軸索輸送障害 / 急送凍結ディープエッチ電顕法 |
Research Abstract |
神経疾患において神経細胞体あるいは軸索にニューロフィラメント(NF)が蓄積するメカニズムを解明する一環としてNFのサブユニットの遺伝子それぞれの欠損マウスおよびNF-MあるいはNF-HのC末端を除去した蛋白を発現するように遺伝子操作したトランスジェニックマウスを作製し、そのNFの変化を切片および急速凍結ディープエッチ電子顕微鏡法で検索した。NF-L欠損マウスではNFが神経細胞体と樹状突起には全くみられず、軸索にもほとんど存在しないため、細胞体や軸索にNFの蓄積はもちろんみられない。しかし、これらの神経細胞の軸索は太さが小さくなり、微細管の密度が極めて増加し、ミトコンドリアが大きくなる傾向にあった。上記のいずれのマウスでもNFの細胞体蓄積を起こさないことがわかったが、急速凍結ディープエッチ法で検索するとNF-H欠損マウスおよびのC末端除去NF-H蛋白を発現するマウスの軸索ではNFの構築に有意な変化がみられた。NF-H欠損マウスでは軸索でのNFの走行が不規則で、NF-Mからのみ形成されるクロスブリッジは発達が悪く、コントロールマウスの軸索よりNF間の間隔は広いところもみられるが、部位によりNF同士がほとんど接触するぐらいに接近しているところもみられる。このような軸索ではNF間の間隙が広い部位が存在し、また微細管もよく発達しており、軸索輸送障害は起こっていないと考えられる。しかしC末端除去NF-Hを発現したマウスの軸索ではクロスグリッジは短く出現頻度も少なく、NF同士が接近し多くの領域でほとんど接触していることがわかった。さらにNF間には小胞がNFに圧迫されるような状態でみられた。すなわち、NF-H自体が欠損しても軸索機能に障害は起こらないが、NF-Hのクロスブリッジを形成するC末端部のみ欠損したNF-Hをもつ軸索ではNFの密度が増加し軸索輸送障害が起こることが示唆される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Gotow,T.: "Selective localization of Bcl-2 to the inner mitochondrial and smooth endoplasmic reticulum membranes in mammalian cells"Cell Death and Differentiation. 7. 666-674 (2000)
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[Publications] Sato,M.: "Electron microscopic observation and single-stranded DNA binding activity of the Mcm4,6,7 complex"Journal of Molecular Biology. 300. 421-431 (2000)
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[Publications] Hashimoto,R.: "Site-specific phosphorylation of neurofilament-L is mediated by calcium/calmodulln-dependent protein kinase II in the apical dendrites during long-term potentiation"Journal of Neurochemistry. 75. 373-382 (2000)
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[Publications] Gotow,T.: "Neurofilaments in health and disease"Medical Electron Microscopy. (in press).