2000 Fiscal Year Annual Research Report
小脳プルキンエ細胞シナプス可塑性に関わる情報伝達系の解析
Project/Area Number |
12680751
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武地 一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10314197)
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Keywords | カルシウム / シナプス可塑性 / 小脳 / プルキンエ細胞 / IP3 |
Research Abstract |
我々は小脳プルキンエ細胞と興奮性入力である平行線維との間のシナプスに見られる長期抑制に関わる情報伝達がどのように作動しているかを1つ1つあきらかにしていくことを第1の目標として研究を進めている。その過程で重要なポイントとしてまず以下の4つの点に分けて検討してきた。1)mGluRを介したシグナルがIP3→IP3レセプターへと伝わってカルシウム放出にいたる経路が実際のシナプス刺激で起こりうるか、2)従来mGluRを介したシグナルが脱分極性の電流を伴うという報告も行われてきたが、実際そのような電流が観測されるか、3)1)2)の両者が実際起こっているとすればどちらがよりシナプス可塑性に重要な役割を果たしているか、4)一酸化窒素(NO)を介した経路はこの中でどのような位置付けがなされるのか。これらの実験を行うため、ビデオレートでカルシウム変化を計測できる共焦点顕微鏡とパッチクランプシステムの同期を行い基本的な計測システムとした。また、カルシウム指示色素は本来カルシウムのキレーターであり、カルシウム誘導性のカルシウム放出をはじめとするカルシウム動態に影響を与える可能性がある。カルシウムの生理的動態に近い形での反応を見るため、カルシウム指示色素の濃度依存的に細胞外からのカルシウム流入シグナルと細胞内貯蔵庫からのカルシウム放出に変化があるか、検討を加えた。高親和性であるOregon Green BAPTA 1を100μMと500μMで用いた場合、500μMではmGluR由来のカルシウムシグナルの減弱あるいは消失の傾向が見られ、今後の実験上、この濃度が重要であるとともにカルシウムキレーターの濃度を操作することにより生理的現象の解明の実験条件とできることが示唆された。
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