アルツハイマーペプチドAβ42を分解する脳中のプロテアーゼに関する研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12680759
• Research Institution: KITASATO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 浜崎 秀明 北里大学, 医学部, 助教授 (00050526)
• Keywords: アルツハイマー / アミロイド / プロテアーゼ

Research Abstract

(1)ある種の培養細胞においては、細胞外に分泌されたAβ42の一部はエンドサイトーシスにより再び細胞に取り込まれ、細胞内プロテアーゼによって分解されることが複数報告されているので、本研究において神経細胞様に分化するPC12細胞(ラット副腎髄質褐色腫由来の細胞株)とSK-N-SH細胞(ヒト神経芽細胞種由来の細胞核)を用いて、ラジオアイソトープで標識したAβ42Bの細胞内への取り込みを様々な条件で測定した。これまでの報告と異なって、これらの細胞にはAβ42の取り込みは認められなかった。この結果は細胞の種類によって、Aβ42のエンドサイトーシスに違いがある可能性を示している。
(2)Aβ42がある種の培養細胞に対して毒性を持つことは古くから研究されてきた。これはAβ42の沈着がアルツハイマー病における神経細胞死の原因であるとするアミロイド仮説の基礎となっている。しかし、神経細胞様に分化させたPC12細胞とSK-N-SH細胞を用いた我々の研究では、これらの細胞に対するAβ42の細胞毒性は認められず、ある濃度範囲ではむしろ細胞増殖を促進した。この結果はAβ42の細胞毒性について細胞の種類による違いがあることを示し、アミロイド仮説に疑問をなげかけるものである。
(3)以上の結果と過去における我々の報告から、PC12細胞やSK-N-SH細胞においてはAβ42は毒性は無く、細胞外から取り込んで分解することもないことが明らかとなった。