2000 Fiscal Year Annual Research Report
リアノジン受容体を介する超長期増強(L-LTP)成立機構の解明
Project/Area Number |
12680776
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森脇 晃義 岡山大学, 医学部, 講師 (10144742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 一仁 岡山大学, 医学部, 講師 (40274287)
李 勝天 岡山大学, 医学部, 助手 (90325093)
松井 秀樹 岡山大学, 医学部, 教授 (30157234)
松下 正之 岡山大学, 医学部, 助手 (30273965)
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Keywords | 長期増強 / 超長期増強 / 一酸化窒素 / Ca^<2+> |
Research Abstract |
脳が持つ特異的な機能の一つに、記憶や学習がある。これらの現象を総称して中枢神経系の可塑性と呼ぶ。神経細胞レベルでのこの可塑性現象の一つにシナプス伝達の可塑性があり、長期増強現象や長期抑圧現象として知られている。この長期増強現象の成因や持続について、ラット脳切片を用いて海馬CA1領域でのシナプス伝達の点から探求した。 長期増強はその持続時間の長さからさらに短期と長期に分けることができ、中でも長期(持続時間が1時間以上)の長期増強は超長期増強(L-LTP)と呼ばれる。海馬CA1領域では、この超長期増強が一酸化窒素(NO)合成酵素の阻害剤である(Nω-nitro-L-arginine)によって抑制されることを明らかとした。さらにNOがグアニル酸サイクラーゼを活性化することにより、サイクリックGMPの産性、蓄積を促進させ、サイクリックGMP依存性蛋白キナーゼを活性化させた。すなわち、NOはこれまで報告されてきたようにRetrograde Messengerとしてシナプス後細胞からシナプス前細胞に情報を逆行性に伝えるばかりでなく、シナプス後細胞においても超長期増強の誘導に関与することが明らかとなってきた。 超長期増強の誘導にはシナプス後細胞での新たな蛋白質の合成が必須であると報告されてきた。そこで超長期増強を誘導した細胞で、細胞内シグナル伝達系のサイクリックGMP依存性蛋白キナーゼの標的となりうるCRE結合蛋白質のリン酸化を調べたところリン酸化CRE結合蛋白質が増加していた。CRE結合蛋白質が転写制御因子の一つであることと考えあわせると、NOがいくつかの細胞内情報伝達系を介して遺伝子の転写を促し新たな蛋白質の合成を通じて超長期増強の誘導、維持に関わることが示唆された。
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