2000 Fiscal Year Annual Research Report
食餌カロリー制御による老化遅延機構:神経内分泌制御におけるレプチンの役割
Project/Area Number |
12680779
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
下川 功 長崎大学, 医学部, 教授 (70187475)
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Keywords | レプチン / 老化 / カロリー制限 / 神経内分泌 |
Research Abstract |
[緒言]実験動物、特にげっ歯類において、食餌摂取カロリーを適度に制限すると様々な老化現象の発現が遅延し、寿命が延長する。このカロリー制限の抗老化作用に関連する神経内分泌系の変化を引き起こす重要なシグナルとして血漿レプチン濃度の低下に着目し、平成12年度に以下の実験を行った。 [方法]食餌制限群(DR群)には、自由摂食ラット(対照群、AL群)の摂食量の70%を生後6週より与え、生後22〜24週まで飼育した。神経内分泌系の変化の指標として、脳視床下部弓状核における成長ホルモン分泌刺戟ホルモン(GHRH)、ソマトスタチン(SRIH)、Neuropeptide Y(NPY)、proopiomelanocortin(POMC)、house-keeping geneとして、β-actin,cyclophilinのmRNAを定量的RT-PCR法にて測定した。DR群では血漿レプチン濃度が低下することは以前より確認していたので、この研究では、皮下に埋め込んだ浸透圧ポンプによってレプチンをDR群にAL群と同濃度になるように補充し、視床下部弓状核遺伝子発現の変化を検討した。 [結果]食餌制限によって、GHRH-、SRIH-mRNAは低下し、NPY-mRNAは増加した。SRIHは変化しなかった。DR群に2週間レプチンを投与すると、GHRH-mRNAは部分的ながら上昇したが、他の遺伝子発現に有意な変化はなかった。 [考察]レプチンの低下は食餌制限にともなう一つのシグナルであるかもしれないが、レプチン単一の補充では、食餌制限にともなう神経内分泌系の変化を対照群の状態にもどすことはできなっかた。来年度は、DNAチップを用いた遺伝子発現解析を行い、その結果から食餌カロリー制限による神経内分泌系の変化をもたらす他のシグナルを類推する。
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Research Products
(1 results)