2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規転写因子ZfhXの中枢神経系発生における機能とその発現調節機構
Project/Area Number |
12680788
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小峰 由里子 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90280586)
|
Keywords | ATBF / ZFHファミリー / 中枢神経発生 / アンチセンスRNA |
Research Abstract |
新生児マウス大脳より単離された新規転写因子Zfh-Xは,発生中の中枢神経系において,そのセンス鎖RNA(mRNA)のみならず,アンチセンス鎖RNAをも発現している。両者の発現パターンから,Zfh-Xは細胞の移動や分化に関係した機能を持っており,移動中の細胞,あるいは分化初期の細胞では,そのアンチセンス鎖を発現させることによりmRNAの発現を積極的に止めている可能性が考えられる。 平成13-14年度には,この遺伝子の機能,および発現調節機構について詳細に解析するために,次の2種類のノックアウトマウスの作成を進めてきた。 a.センス鎖コード領域を破壊した系統(S-KOと呼称)。b.アンチセンス鎖転写調節領域と予想される領域を欠損させた系統(AS-KOと呼称)a.については,現在,遺伝子相同組換えを起こしたES細胞を導入したキメラマウスが得られた段階である。また,b.については,既にホモ遺伝子欠損個体が得られその繁殖・解析を進めている。 AS-KOホモ欠損マウスでは,意図したとおり,胎生15日目以降の胎児でアンチセンスRNAの発現がなくなっていた。このため,野生型マウスにおいてアンチセンスRNAが発現していてセンスRNAが発現抑制されている部分(後期胎児の大脳皮質,橋核,生後5-15日目の小脳顆粒細胞層など)において,ホモ欠損マウスでは,センスRNAの異所的発現が認められた。 この結果から,zfhX遺伝子では,内在性アンチセンスRNAの転写によりセンスRNAの発現が抑制され庭るをいう仮説が正しいことが,in vivoにおいて確認された。 今後,さらにこの2種類の変異マウスの表現型等を調べることにより,この遺伝子の機能や,発現調節機構の詳細な解明などを進めていきたい。
|