2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680799
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
酒田 英夫 日本大学, 医学部, 教授 (10073066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加世田 正和 日本大学, 医学部, 講師 (20072994)
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Keywords | 認知地図 / 頭頂連合野 / 人工現実感(VR) / 道順記憶 / ニホンザル / ニューロン機構 |
Research Abstract |
本研究はニホンザルに人工現実感(ヴァーチャル・リアリティー:VR)システムの中に設定した野外の仮想空間の道順記憶課題を学習させ、課題遂行中に頭頂連合野のニューロン活動を記録して特定の場所や野外の情景または道順の記憶に関連するニューロンを探索して、認知地図のニューロン機構を研究することを目的にして始めた。本年度は東に鉄道線路、南に海岸、西に富士山を望む日本大学生物資源科学部のキャンパスをモデルにした空間をVRのスクリーン上に提示しサルにその中をジョイスティックを使って車で移動する訓練を施した。サルは始め屋内の空間で廊下を移動するセットで基本的な訓練を受けた後に野外のセットの訓練を行った。最初はガイドの人形の後をついて移動する視覚誘導型の道順課題を学習させた後、ゴールの情景を見せて出発点に戻しガイドなしでゴール(終点)まで到達する記憶誘導型の道順課題を学習させた。ゴールとしては本館、図書館、体育館、ゲストハウスなどの建物と陸上競技場、野球場、テニスコート、牧場などがある。記憶誘導型の道順課題の訓練は予想以上に困難で静止したゴールの画面だけではなかなか憶えないので、始めは自動的に出発点からゴールまで移動する動画で道順を示してから同じ道順を辿る動画的手がかりによる訓練を施した後に静止画による記憶誘導型道順課題を訓練した。現在までに4〜5ステップのルートを5コースまで憶えたがまだ3〜4コースを憶えてから記録実験を始める予定で訓練を進めている。ニューロン記録は頭頂葉内側面のPGM野を中心に膨大後皮質と海馬傍回で行う。予想されるタイプは1)VRの仮想空間内を移動する時に前進、右折、左折などに対応する自己運動知覚ニューロン、2)仮想空間内の建物または風景を見た時に反応する情景認知ニューロン、3)道順記憶課題を遂行中にある特定の区域に行った時に活動する「場所細胞」4)道順課題遂行中に次の分岐点で曲がる方向またはゴールの方向を予測して活動する方向記憶ニューロンなどである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Murata,V.Gallese M.Kaseda,H.Sakata: "Selectivity for the Shape, Size,and Orientation of Objects for Grasping in Neurons of Monkey Parietal Area AIP"J.Neurophysiology. 83. 2580-2601 (2000)
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[Publications] M.Taira,K.Tsutsui M.Jiang,H.Sakata: "Parietal Neurons Represent Surface Orientation From the Gradient of Binocular Disparity"J.Neurophysiology. 83. 3140-3146 (2000)
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[Publications] 姜敏,筒井健一郎,泰羅雅登,酒田英夫: "表面知覚に果たす頭頂連合野の役割"日大医学雑誌. 59. 103-111 (2000)
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[Publications] 筒井健一郎,泰羅雅登,姜敏,酒田英夫: "肌理の勾配から表面方位を知覚する神経機構"日大医学雑誌. 59. 157-165 (2000)
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[Publications] 遠藤恵子,原中喜源,楠真琴,酒田英夫: "サル頭頂連合野の三次元軸方位選択性ニューロンに対する種々の両眼視差手がかりの効果"日本眼科学会雑誌. 104. 334-343 (2000)
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[Publications] 酒田英夫: "視覚系の情報処理"CLINICAL NEUROSCIENCE. 18. 1372-1377 (2000)